実体はないが、風味はある / [関越物産] こんにゃくのレバ刺し

2012年 食べる 食べる
実体はないが、風味はある / [関越物産] こんにゃくのレバ刺し

7月1日から、牛の生レバーの販売は禁止されてしまった。

私はレバ刺し大好きというわけじゃないが、禁止されると食べたくなる。てなわけで、スーパーでこんにゃくのレバ刺しを買ってきた。関越物産の商品で、お値段は200円しない。ホームページを見ると6月20日に新発売されたばかり。時流に乗ってるね。

入っていた袋は3つ。こんにゃく、タレ、ゴマ。こんにゃくを水洗いして皿に盛ると、なんだか不気味な感じ。厚みや大きさが均質なので、肉っぽくない。いや、レバーは肉じゃないか。

タレ、ゴマをかけて、食べてみると、驚くほどレバ刺しの味がした。
しかし……味の実体がない。味がするのはタレであって、こんにゃくじゃない。こんにゃくにも味付けされているかもしれないが、わからない。食感のみ。レバ刺しの食感がすると言えなくもないが、タレによる暗示も大きいだろう。
ごはんに蒲焼きのタレをかければ、うなぎはなくともうなぎを食べた気がする。
焼き肉のタレをかければ、焼き肉はなくとも焼き肉を食べた気がする。
そんな感じ。

レバ刺しの血なまぐささ、にゅるっとした食感まで再現しなかったのは、好き嫌いが分かれるためだろう。レバ刺しの記号をうまく抜き出している。これならレバ刺しが苦手な人でも食べられる。これがレバ刺しかどうかはべつにして。

やがて、レバ刺しを知らない子どもたちが社会に出てくるのだろうな。
「おれ、レバ刺し、好きっすよ」
と言って、こんにゃくを指すかもしれない。そう考えると、なんだかなーという気持ちになる。まぁ、私たちも本物の味を知っている世代とは言えないが……。