歯医者、その後のその後
2012年 生活 健康 医療歯の治療がつづいている。
どんな治療をしたか、いちいち日記にするのもヘンだが、まぁ、自分の日記なので、自分のために記録しておこう。
左の奥歯
奥歯を抜いた経過は良好。歯茎もふさがって、ブラッシングできるようになった。
噛み合わせをよくするため、上の奥歯を少し削った。気兼ねなく噛めるようになったが、やはり奥歯が1本ないと、咀嚼に手こずるようになった。失った歯は1本だが、噛み合わせがなくなったから、2本ないのと同じ。もう十分だろうと思うくらい噛んでも、まだ足りない。しっかり噛まないと駄目だ。
お年寄りの食事が遅くなるのは、こういうことか。
パートナーのいない歯
左下の奥歯を失って、左上の奥歯は、噛み合わせのパートナーを失った。噛み合わせがないと、歯はどんどん伸びてしまうらしい。歯は、毎日の摩耗に耐え抜くように設計されているから、遊ばせておくと不具合が出るわけだ。
対策としては、差し歯を作るか、上の歯も抜いてしまうか、当たる部分を削って調整するか。今はまだ平気だが、何年、何十年経つと、悩まされることになる。あー、やだなー。
お年寄りの歯並びが悪くなるのは、こういうことか。
よみがえる痛み
軽い虫歯が3箇所ほど見つかったので、治療することにした。軽いので、麻酔をかけずに、表面をちょっとだけ削る。痛みはないはず。しかし私があまりにも顔をしかめるので、歯医者さんが心配してしまった。
「痛いですか?」
「痛くなりそうな予感で、身体が強張るんです」
怖いのは痛みではなく、痛みでビクッと身体が跳ねることだ。以前、身体が跳ねて怪我しそうになったことがある。じわじわした痛みは耐えられるが、神経にさわる痛みは瞬間的に襲ってくるから耐えられない。だから全身に力を込めていたのだが、激痛に耐えているように見えてしまったようだ。
「麻酔を使いましょう。その方が安心できるでしょうから」
そう言われて、ほっとしたような、恥ずかしいような。
治療で虫歯がなおっても、心に傷が残っていた。実際の痛みより先に、記憶の痛みに苦しめられる。なんてこった。私はこんなにも「痛がり」になっていたのか。
「子どものころから治療を受けていますね」
歯医者さんが見れば、詰め物の金属の種類や、その摩耗具合で、治療した年代がわかるらしい。たしかに、子どものころから虫歯に悩まされてきた。しかしいつ、どの歯を、どのように治療したかはおぼえていない。おぼえていないが、同じ歯を削るときは、痛みが鮮明にフラッシュバックする。やれやれ。
歯の大切さは、失ってはじめてわかる。
そして、わかったときは、取り返しがつかない。
今度、甥っ子にあったら、歯磨きの大切さを教えよう。
あと2箇所
麻酔によって、おだやかな状態で治療を受けられた。削り方や時間を見ても、虫歯が軽度だったことがうかがえる。なのに麻酔をかけてもらって情けない。
とりあえず1つ終わった。あと2箇所。そのうち1つは、古い金属を取り替える作業になる。どれも痛みは少ないそうだが......憂鬱だ。
歳をとってわかったことがある。
病院で治療を受けても、もとの健康体にはもどらない。
「病気になっても治療を受ければいい」
なんてのはゲームの中だけの話。
現実の人生は、失っていくばかりだ。