Siri に正しく命令できるか?

2012年 科技 iPhone Webサービス デジタル
Siri に正しく命令できるか?

 iPhone 5 を手に入れて、待望の「Siri」さんと話せるようになった。

 Siri はiOSの音声認識アプリケーション。自然言語処理を用いて、質問に答えたり、コマンドを実行してくれる。秘書のような機能である。
 発表されたのは2011年10月で、iPhone 4SにSiriが実装された。夢のようなサービスだと興奮したっけ。明けて2012年3月に日本語対応。そのユーモラスな受け答えがネットで注目された。iPhone 5 発売時はあまり注目されなかったが、私には待ち望んでいた機能の1つだった。
 日常的なSiriの使用イメージはこんな感じ。

わかるように命令する

 動画はいいところだけ切り抜いているけど、ちゃんと使うためには、それなりの「準備」がいる。アドレス帳によみがなをふったり、正しく認識される命令の仕方を学ぶなどだ。

 Siriの自然言語処理は優秀だ。しかし聞き取れることと、意味がわかることは異なる。その発言をメモ帳に書き取るのか、リマインダーにセットするのか、同名のイベントを探すのか、インターネット検索するのか、正しく命令しないと、正しく実行されない。

 コツをつかむと、文節を区切って、ゆっくり、ていねいに話すようになる。あぁ、むかし、日本語がわかるタイ人と会話した時を思い出す。
「この、料理は、とても、辛い。だけど、おいしい、です」
「明日の、10時に、買い物に、行きましょう」
 みたいな感じ。言語で重要なことは、敬語や文法より、単語が聞き取れることだった。

命令するって、難しい

 Siriを使っていると、あんがい自分が命令文に不慣れなことに気づく。余計な音が混じったり、語尾が不明瞭だったり、口ごもってしまうのだ。
 いや、私だけではないだろう。人間相手に命令するときは、相手を気遣って言い回しを変えたり、あいまに表現する。それに相手が応じると、ますます言葉は減っていく。

 偉い人は、自分の意向を察してくれる優秀な部下が揃っているだけで、決して命令上手じゃなかったりする。また優秀なグループも、リーダーは無能で、部下の予測変換がずば抜けている場合がある。

 「命令する」ってのは、思っているほど簡単じゃない。
 命令とは、リソースの潜在力を引き出し、自分の意向を実現させること。
 命令する能力は、近年とみに弱まっているかもしれない。

人間が歩み寄ってもいい

 今後、Siri はますます進化するだろう。人間のあいまいな命令にも対応してくれるだろう。いま、「Siri は使えない」「気が利かない」と文句を言っている人も、やがては救済されるはずだ。
 でもそれで、いいのだろうか?

 Siriにわかるように命令することは、大それた苦労じゃない。機械がこれほど人間に歩み寄ってくれたのだから、最後の一歩くらい、人間から歩み寄ってもいいはずだ。

 でもまぁ、技術の進歩は楽しみだけどね。