きみの部屋は潤っているか?

2013年 生活 健康 生活環境
きみの部屋は潤っているか?

 霧吹きによる加湿を継続中だが、新たな問題に直面した。

これまでのあらすじ

毎年風邪をこじらせるのは、部屋が乾いているせいかもしれない。加湿器を買おうと物色するが、コレジャナイ感がつきまとう。湿度計で測ってみると、皮膚感覚と大きくずれることがわかった。
部屋の加湿には、濡れタオルを干すことが効果的だった。手軽に水分補給できるよう、霧吹きを買ってきた。霧吹きの飛沫はドライミストほど細かくないが、小一時間ほどで乾く。なのでタオルだけでなく、壁やカーテンにも吹きかける。濡れている面積が広ければ広いほど、湿度を長く保つことができる。

惑わされる感覚

 霧吹きでシュシュシュシュシュシュシュと吹きかけていると、嫁が眉をひそめるようになった。
「壁や床がジメジメする」
「部屋の空気がよどむ」
「換気して」
 しかしこれは、言いがかりである。湿度60%くらいで不快になるはずがない。換気すると温度も湿度も一気に下がる。これじゃオイルヒーターを使う意味がない。

 つまり、イメージの問題だ。霧吹きの音を聞いているうちに、イメージ的な不快指数があがってしまったのだ。湿度は皮膚感覚でわかりにくいから、イメージに影響される。実際は乾いているのに「快適だ」と感じることもあれば、実際は快適なのに「乾いている/湿っている」と感じることもあるわけだ。

イメージか、数字か

 人はパンのみに生きるにあらず。実際はどうあれ、皮膚感覚は無視できない。無視できないが、イメージに振り回されて不健康になるのも馬鹿だ。私は嫁に問うた。
「イメージと数字、どっちを優先するか?」
 嫁は数字を選んだ。

 私がなんとなく加湿器を敬遠した理由がわかった。加湿器はイメージに偏りすぎているのだ。赤ん坊や美女がくつろいで、「うるおい」やら「イオン」といった言葉が並んでいたら、そりゃ「快適そう」に見える。店頭で白煙をあげる機種を見れば、いかにも「効きそう」って思う。でもそれはイメージだ。
 加湿器を買っても、湿度計を見ながら調節しなければならない。加湿器から発生する水分が、濡れタオルより清潔ってわけでもない。イメージを求めて商品を買い、実際の効果をはかることなく文句を言う。それじゃ駄目だ。

幸福を定量的に測ることはできないが

 加湿器が無意味と言いたいわけじゃない。加湿器を使わない自分のスタイルが優れているとも思っていない。
 人はイメージだけでも、数字だけでも生きていけない。たとえば、必要な栄養素を錠剤で補給できるとしても、イメージとして美味しいものを食べたい。どっちか片方と言えば、じつはイメージの方が重要かもしれない。

 私は数字を重視したいが、すべての場面で数字を優先するつもりはないし、できるとも思えない。ただまぁ、家電のイメージには注意したい。やれることをやって、仕組みを理解してから買っても遅くない。それだけの話。

追伸

 霧吹きを嫁にやらせてみた。嫁が私より上手に霧吹きを使っている可能性がないとは言わないが、まぁ、ないだろう。かし嫁は文句を言わなくなった。自分でやれば納得できる。そういう効果もあるかもしれない。