無知の罪 / NHKスペシャル|産みたいのに 産めない~卵子老化の衝撃~

2013年 生活 死生観
無知の罪 / NHKスペシャル|産みたいのに 産めない~卵子老化の衝撃~

 録画しておいた『NHKスペシャル|産みたいのに 産めない~卵子老化の衝撃~』を見た。

 衝撃的な内容だった。私は泣いた。嫁も泣いた。これが泣かずにいられるか。もう少し早く知っておくべきだった。世の中には取り返しの付かないことがある。悲しくて、悔しくて、やりきれない。
 プライベートなことと黙っていたが、思うところがあったので日記にまとめておく。

 要約すると、女性が子どもを産める年齢は30代が限界で、それでも遅すぎるってこと。40代になっても不妊治療を受ければいいやとか、なにか特殊な技術で解決できると思ったらおおまちがいだ。もちろん、可能性がまったくないわけじゃないが、番組を見れば、希望が残っていることがいかに残酷か思い知るだろう。

私の話

 私にとって性教育といえば、避妊と性病だった。いかに妊娠を避け、いかに快感を得るか。そうした知識ばかり詰め込んできた。だがもっと知るべき現実は、妊娠と出産だった。
 いつまで妊娠できるか。妊娠にどんな危険が伴うか。出産後はどんな注意点があるか。私がボケッとしていたせいもあるが、ちゃんと教えてくれる人はいなかった。

 私もちゃんと知ろうとはしなかった。私は子どもを「作る」という言葉がきらいで、子どもは「授かる」ものと考えていた。夫婦の意思だけでなく、自然や神さまの力添えで授かりたいと願っていた。しかそれは甘えだった。友人に不妊治療をすすめられた時、難色を示した過去の自分を殴ってやりたい。

社会の話

 私の無知は私の責任で、「世の中が悪い」と言うつもりはないが、このままでいいとも思えない。
 日本は明らかに「性の現実」を避けている。学校の授業もビデオを見せるだけ。昔なら、家族や親戚が教えてくれたかもしれないが、時代は変わったのだ。これほど個人が独立した世の中で、これほど性情報が氾濫した世の中で、エロ本を駆逐すれば健全な大人が育つと思ったのか?

 日本の少子化は、もはや緊急ではなく、手遅れの課題だ。今から出産率が爆発的に向上しても、人口は減りつづける。そんな状況なのに、民主党は女性手帳に反対した。「余計なお世話」と批判したようだが、「余計なお世話」にならない少子化対策なんかありえないし、そんな悠長なことを言ってる場合でもない。

 私も、女性にだけ手帳(知識)を配るのは反対だ。男性も正しい知識を知るべきだ。学校の授業も拡充すべきだ。学生が妊婦や赤ちゃんと触れる機会を増やすべきだ。やるべきことはいくらもある。なのに完璧な政策でなければ認めないなんて、稚拙すぎる。

これからの話

 今から子どもを教育しても、少子化の歯止めにはならないが、それでもやるべきだろう。女性の「子どもを産まない自由」も、正しい知識があってこその話だ。そして少子化対策の本質は、子どもを増やすことではなく、人口が減っても運用できる社会づくりになるだろうが、それはまぁ、別の話。

 このあたりの日記を書くと、いろいろ反対意見もあるだろう。私も、自民党のやり方が正しいと思っているわけじゃない。ましてや「正しい知識」なんてものが、いかに危ういかもわかっているつもりだ。それでも、無知、無関心でいいはずがない。
 面倒から目を背けた結果が、いまの状況なのだから。