家ネコの進化がこわい

2013年 生活 人と動物
家ネコの進化がこわい

 実家にいる猫の態度が、どんどん大きくなっている気がする。

 実家にはネネとチャチャという猫がいるが、ネネは引きこもりのため、姿を見ていない。チャチャは活発で、人間の生活圏を縦横無尽に闊歩している。このチャチャの態度がでかい。

点滴石をも穿つように

 テレビを見てると、テレビの上に乗って注意をそらす。料理を始めると、台所に乗ろうとしたり、足に絡みつく。パソコンを起動すると、キーボードの上を歩く。トランプをはじめると、山札を崩す。無視すると、ニャーニャー泣くが、近づくと逃げる。なにを考えているのか、さっぱりわからない。

 実家の人たちも猫を叱るんだけど、徹底的じゃないから懲りない。結局、人間のほうがあきらめて、作業を止めたり、場所を変えたりする。たまに訪れる私の目には、猫の態度が大きく、人間の権威が小さくなっているように見える。まるで猫が少しずつ譲歩を引き出しているようだ。

 チャチャはよく腹を見せる。メスだから、乳首が並んでいる。どういう意味だ? 動物が腹を見せるのは服従のサインだが、家ネコはちがうようだ。さわってやると喜ぶが、すぐ逃げる。なにをさせたいんだよ!

 それからチャチャは、よく身体を伸ばすようになった。背筋から足先までぴーんと伸ばして、くつろいでいる。気持ちよさそうだが、「もうすぐ二足歩行するぞ」と言われているようだ。野良猫はこんなふうに身体を伸ばさないよね? 家ネコだけの特徴?

長寿化する家ネコ

 チャチャは2002年生まれだから、今年で11歳になる。猫の寿命は10~16年らしいが、近ごろは長寿化の傾向にある。野良猫の平均寿命は4年だから、屋外の暮らしがいかに厳しいかうかがい知れる。

 家ネコは暑さも、寒さも、飢えも、乾きも、恐れも、ストレスも知らずに暮らす。人間より猫を大切にする家も多いから、ある意味、人間以上に勝ち組と言えるかもしれない。しかし長寿化のため、痴呆症になる猫も増えているそうだ。ふつう、脳の機能が衰える前に死んじゃうから、神様も想定していなかった事態だ。

ゆるやかな侵略

 チャチャの話に戻そう。チャチャも若いころは野の獣としての警戒心があったが、今はすっかり弛緩している。イタズラしても人間に怒られることがないから、増長するのは当然だ。とはいえトイレじゃないところで排泄したり、本気で怒っている人間には近づかない。どこまで迷惑かけても大丈夫か、経験的にわかっているのだ。そのうえで、ギリギリのラインで遊んでいる。

 人間が本気で怒りだす限界のちょっと手前でやめる。ちょっと怒らせてやめる。

 こうして勢力圏を広げるわけだ。恐ろしい。
 こうした図々しさは、家ネコ特有の性質なんだろうか?

 このまま百年もしたら、猫は妖怪化するかもしれない。まじで。

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