所有するって、どういうこと?
2013年 科技 物欲
アニメイトが書籍やDVD、グッズを預かるサービスを開始したようだ。
貸し倉庫サービスの一種だが、熱や湿気に弱いグッズ類を専門にしていること、スタッフが一点ずつ写真撮影してオンラインで確認できることが差別化ポイントになる。
つまり、こういうことだ。
- アニメイトで大量のDVDやフィギュアを買ったため、部屋が狭くなった。
- あふれたグッズを箱に詰めて、アニメイトに預かってもらう。
- 部屋が広くなったので、またグッズを買う。
- 手元になくなっても、写真を見ることで所有を実感できる。
なにか、おかしくない?
だったら、Amazonの商品写真を見てるだけでいいじゃん!
松下幸之助のエピソード
松下幸之助氏が京都駅からある料亭へ打ち合わせに向かっているときのこと。
隣に乗っている、最近松下電器にはいったばかりの秘書にこう言った。「あのな、ここらへんは実はわしの土地なんや」
さすが大企業の社長、と秘書が驚いていると幸之助氏はさらに続ける。
「今からゆく料亭も、実はわしのもんなんや」
はあ、料亭も!と秘書が驚いていると突然幸之助が笑い出した。「面白いやろ、君!そう考えたらなんか気が大きくならんか?」
これは冗談だったわけだが、幸之助氏は続けて秘書にこう諭す。
もしここらへんの土地が自分のものだったら、前を走る車も邪魔には思わないだろう。
自分の料亭の酒や料理は大事にしよう、と思うだろう。
自分の土地だからタバコを捨てたりしないだろう。そして突き詰めて考えると「みんなのものは自分のもの、自分のものはみんなのもの」という哲学にいきつく。
私心一色になりがちな企業経営もそう考えると会社は社会のもの、という考え方ができるのだ。
秘書はこの一件で彼の経営哲学を聞いたのだった。幸之助氏の指導にはこうした「こう考えるといいですよ、こう考えると楽ですよ」というものが多かったという。
私も若いころは人並みに所有欲があったが、ほどなく限界を悟って、所有せずとも満足できるよう、自分を変えた。変わってしまえば、この世にいろんなグッズがあるだけで楽しめるようになる。
まぁ、そんな坊さんみたいな人が増えたら、産業が立ち行かないのかもしれないが。
所有するって、なんなんだろう?