万国の労働者よ、団結するな! / すき家ストライキ決行
2014年 政治・経済 Webサービス 時事ネタ 社会5月29日(肉の日)、予告されていた#すき家ストライキが決行されたようだ。
首謀者がいないため交渉できず、ネット経由の通信なので構成員を把握できない。まったく新しいカタチの労働交渉だ。
定義をめぐる戦い
動きが大きくなったので既存の労働組合が合流を呼びかけていたが、まったくナンセンスだ。労働組合が機能して、信用されていれば、こうした事態にならなかったはずだ。
取り込めないとわかると、今度は「組合を介さずストを実行すれば威力業務妨害となる可能性もあります」と警告してきた。この組合はだれの味方なのだろう? スト権は組合の専権事項ではあるまい。
労働組合に入ると、組合費を徴収され、組合の交渉結果を尊重することになる。いいことがあるように思えない。
一方、ゼンショーは「ストライキは1店舗も起きていない。具体的な要求もない」とアナウンスした。そりゃ、従来の定義によればそうだろう。そんな態度だから、切迫した事態を招いていることに、なぜ気づかないのか。いや、だからこそか。
団結すると弱くなる
「万国の労働者よ、団結せよ!」は、共産主義のスローガンの1つ。個々では弱いプロレタリアートも、団結すれば大きな力をもつ。その考えは素晴らしかった。
しかし現代のブルジョワジーは、労働組合を掌握する方法を編み出してしまった。組織に所属しつつ、支配をはねのけることはできない。労働者は会社だけでなく、組合にも支配される。団結することによって弱くなってしまうのだ。
今回のストで、ゼンショーが経営方針を変えるとは思えない。しかし組合を介した尋常な交渉で変えられるとも思えない。ならば、クラウドストは有効な示威行動だろう。
今後のこと
「ガイアの夜明け」で見たけど、外食産業の人手不足は深刻で、しかも人口減少で今後の好転が期待できないそうだ。なので企業はオペレーションを自動化して、スタッフの数や負担を減らしている。
すき家はすでにワンオペを実施してるから、気合や忠誠心で解決しようとせず、作業軽減を目指すべきだろう。
より少ない人数でやっていけるようにする改革は、労働組合は要求したがらない。たとえ企業に鼻薬を嗅がされていなくても、あらゆる組織は構成員を増やそうとするからだ。既得権を手放して、公共の利益に資する行動もできない。しかし政治活動は大好き。組織とはそういうものだ。
こう考えると、今後の日本に労働組合は役に立たないばかりか、改革の足を引っ張る存在になるかもしれない。あるいは、すでに?
話をもどすと、今回のストは興味深かった。
こういうことも起こりえると示してくれたことは、大きな意義をもつだろう。