「ごくごく」「ぐびぐび」を禁じて、どうなるの?

2015年 社会 時事ネタ 社会
「ごくごく」「ぐびぐび」を禁じて、どうなるの?

 お酒のCMから「ごくごく」「ぐびぐび」の効果音が消えるそうだ。

 8月31日、酒類の製造販売の9団体でつくる「酒類業中央団体連絡協議会」は、お酒のCMなどの出演者の年齢を、これまでの20歳以上から25歳以上に引き上げる方針を明らかにした。あわせて「ごくごく」「ぐびぐび」という効果音や、のど元のアップをやめるとのこと。
 「若いタレントのCM出演は、未成年者にも飲酒への関心を高めている」と指摘されたため。「ごくごく」などの効果音やのど元のアップをやめるのは、「アルコールを我慢している依存症の患者には苦痛」という声に配慮したらしい。

 お酒の広告には法規制がなく、業界が自主基準を作っている。すでに「一気飲みをしない」「妊婦の飲酒を勧めない」「5時から18時まではテレビ広告を行わない」などの規制がかかっている。わけのわからん法規制がかからないように、みずから厳しく律しているようだが、なんだかなぁ。
 その効果について、考えてみる。

1.クレーマーが増えるのでは?

 牛肉のCMはイスラム教徒に苦痛だし、旅行のCMは寝たきり患者に苦痛だし、車のCMは交通事故の遺族に苦痛だろう。とりわけ恋愛ドラマは有害だ。失恋した人、相手がいない人、相手に満足してない人、性的マイノリティにとって苦痛じゃないか!

「お酒は自主規制したのに、◯×はどうなんだ!」
 と騒ぐ人が増えるかもしれない。
 自主規制を声高に要求する人がいることは、恐ろしい事実である。

2.新たな文化を生むかも?

 「若者がうまそうに、痛快そうにお酒を飲むイメージ」が消えれば、当然、若者の飲酒量は減るだろうが、すでに若者の飲酒量は減っているから、損失は大きくあるまい。
 さらに「中年がしずかに、しみじみお酒を飲むイメージ」が定着すれば、飲酒トラブルも減って、お酒の社会的地位が向上するかもしれない。

 幕府が女歌舞伎を禁じたことで女形(おやま)が生まれたように、規制が新たな文化・芸術・スタイルを生むかもしれない。

 とはいえ、規制が芸術を進化させるのは結果論であり、意図してできることじゃない。CM制作者は新しいものを作ろうとせず、つまらない広告を量産し、お酒文化を後退させるかもしれない。

 私はこの規制に同意できないが、まぁ、「若者がうまそうに、痛快そうにお酒を飲むイメージ」が安直で、有害で、このまま継続しても販促効果に乏しいのは事実だろうな。

 はてさて、どうなることやら。