
仕事の目的は「資産」をつくることだ。
資産の定義はいろいろだが、ここでは「それ自体がお金を産み出すもの」と考えたい。資産=お金ではないところがポイントだ。
お金をタマゴ、資産をニワトリにたとえてみよう。あなたは毎朝、タマゴを食べなければならない。だからタマゴを手に入れるため、働くことになる。しかし会社に行くと、上司は「タマゴのために働くな」と言う。わけがわからない。
働いて、タマゴをもらって帰る。今はいいけど、怪我や病気になったらどうしよう? 親方と喧嘩したり、誰かのミスによって会社が傾くこともある。先行きは不安だ。
そこで考える。
がむしゃらに働いても、暮らしはよくならない。だったらタマゴではなく、ニワトリを手に入れた方がいいのではないか? そうすれば毎朝、好きなだけタマゴを食べられるし、余れば人に配れる。いや、ただで配ることはない。労働と引き替えにタマゴを与えよう。そうか、ニワトリがあれば親方になれるのか。
では、どんな労働をしてもらおうか?
答えは決まっている。ニワトリの世話をしてもらうのだ。大切なのは、ニワトリを所有することであって、世話することじゃない。
ニワトリの世話が上手な人には、より多くのタマゴを与えよう。ふつうの人には、生きるのに必要最低限のタマゴでいいだろう。そして、新しいニワトリを見つけた人には、もっとも多くのタマゴを与えよう。
あなたは従業員を指導する。
「ニワトリが増えれば、より長く、より多く、より安定的にタマゴを配れる。大切なのはタマゴじゃなくて、ニワトリなんだぞ」
果たしてどれほど伝わっただろうか。
◎
もちろん、タマゴ(お金=日銭)のために働くことが悪いわけじゃない。ニワトリ(資産)を所有することが人生の幸福に直結するわけでもない。こんなのは相対的な話だ。
ただ、ちょっと考えてみるのも、いいかもしれない。
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