[報道・教養] NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」 / 独裁者を拒絶する民族性
2011年 政治・経済 NHK 報道・教養![[報道・教養] NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」 / 独裁者を拒絶する民族性](https://trynext.com/diary/images/2480.jpg)
NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか(全4回)」を見た。
一部、偏った表現はあるものの、おもしろかった。アニメを使った再現映像もわかりやすい。
当時、日本とアメリカの国力差は80倍。勝つ見込みがまったくない戦争を、なぜはじめてしまったのか? アメリカの策謀だったという説もあれば、軍部が暴走したという説もある。しかし番組は、日本人の統治能力の欠如に原因を見いだしている。
- 第1回"外交敗戦"孤立への道
国際社会にデビューしたての日本は、外交があまりに下手だった。孤立を避けようとするあまり、どんどん孤立していった。
- 第2回 巨大組織"陸軍" 暴走のメカニズム
陸軍は官僚組織だった。その長になると、組織の拡大が最優先事項になる。その方針はやがて、現実から乖離していく。
- 第3回 "熱狂"はこうして作られた
戦争になると、新聞が売れる。軍部によるマスコミの弾圧もあるにはあったが、莫大な利益に吸い寄せられた側面も見逃せない。
- 第4回 開戦・リーダーたちの迷走
対等の権限を持っていたため、なにも決められなかったリーダーたち。先送りをつづけた結果、開戦以外の選択肢を失ってしまった。
恐ろしい内容だった。体面にこだわる、相手の顔を立てる、空気を読み合う、あいまいな態度で先送りする......。戦前の日本にあった因習は払拭されたと思っていたけど、それは幻想だ。今もバリバリ残ってる。
ドイツは独裁者が戦争を引き寄せたが、日本は独裁者の不在が平和を遠ざけている。歴史を振り返ると、日本の独裁者はすぐ排除されている。日本人は、独裁者による支配を甘受する民族性があると思っていたけど、じつは逆かもしれない。
独裁者が発生すると、日本人は一致団結して排除する。だからだれも独裁者にならないし、なれない。お飾りのトップがいるだけ。そして権限を細分化して、責任の所在をあいまいにし、互いの顔色をうかがいながら物事を進めていく。
独裁者を拒絶する
↓
みんなで物事を決める(リーダー不在)
↓
みんなが不利益を被る決断ができない
↓
先送りによる状況悪化
こうした民族性には、いい面もあるが、悪い面もある。そして悪い方に転がり出すと止まらないことは、覚えておきたい。