悪魔が来りて笛を吹く / 稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ#4 The Devil Comes and Plays His Flute
2007年 日本ドラマ 2ツ星 #金田一耕助 探偵さっぱり、くせのない金田一耕助
「稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ」第4弾。私はここから視聴したけど、金田一耕助がライトで驚いた。そのへんの若者がウロチョロしているみたい。とはいえ「ふつう」ではない。頭を掻いてるが不潔ではなく、どもっても説明は流暢。マントをばさりと翻し、屋根の上でフルートを吹く。空気が読めない発言が多いが、誰からも「先生」と慕われる。「どうだ、かっこいいだろう?」と言わんばかりの演出だが、そう見えないからちぐはぐ。こんな青年は現実には存在し得ないだろう。
焼け野原の東京がCGで再現されていた。映像はすごい。BGMが大きく、耳障り。演出が強すぎる。印象的なシーンを作ろうと、なにもかも極端にしてる感じ。たとえば駒子(妙海)は白髪の魔女。ファンタジー世界の住人と復員兵が話すシーンはシュールだった。滑稽と言えば滑稽だが、持ち味と言えば持ち味か。
2時間枠に収めるため、事件は簡略化され、登場人物は省略されている。玉虫公丸を単純な撲殺にしたり、タイプライターの解析を省いたのはいいアイデア。しかしそれでも駆け足は印象は拭えないし、残ったドラマやキャラクターが濃くなったわけでもない。
警察は無能で従順
等々力警部ではなく、「犬神家の一族」の橘署長が栄転してきたとかで、金田一のサポートにまわっている。なぜかつねに制服姿で、つねに浮いている。また自分で判断・行動することはなく、なにもかも金田一の指示してもらい、くっついてまわる。どういう世界なんだろ?
キャラクターを削っても強調されない
華子(利彦の妻)を削ったことで、利彦の悪辣さがわからない。菊江(公丸の妾)が没落する華族をあざ笑うこともないから、存在意義が乏しい。もっと洗練できるだろう。椿美禰子(国仲涼子)は美人で、落ち目の華族の哀愁が感じられない。もうちょい地味に描いてほしかった。
椿秌子を演じる秋吉久美子は当時53歳だが、肌がきれい。たたずまいは「らしい」感じがする。もっと出番を増やしてほしいが、このくらいがちょうどいいのかもしれない。致命的だったのは、利彦と秌子との性描写がないこと(言及はされる)。それをすてるなんてとんでもない!
犯人に絶望感、悲壮感がない
三島東太郎(成宮寛貴)はどうにも軽い。古谷一行版の、沖雅也の愛憎あふれる演技を見てるとつらい。それでいて説明シーンは長いから、自慢話に聞こえる。不敵な笑みを浮かべたことで、復讐の純粋性も失われている。
三島は悪魔の紋章が決定的証拠になることを知っていながら、無防備に着替えている。秌子は絶叫するが、その理由を語らない。その秌子がいるまえで、金田一が状況を再現するのだから、だんたんシュールに見えてきた。
いろいろ不満点を挙げているが、こうしてリメイクされることは喜ばしい。シリーズほかの作品も見てみよう。
金田一耕助 | |
---|---|
石坂浩二 | |
渥美清 |
|
古谷一行 |
|
鹿賀丈史 |
|
豊川悦司 |
|
上川隆也 | |
稲垣吾郎 |
|