アリス マッドネスリターンズ (Xbox360) Alice Madness Returns / American McGee's Alice 2

2011年 ゲーム 4ツ星 ファンタジー:童話 不思議の国のアリス 狂気 異世界に召還

雰囲気はいいけど、ゲームは駄目(2)

あらすじ

不思議の国を元にもどしたアリスは、現実世界でも正常と判断され、ラトレッジ精神病院を退院する。しかしその後のカウンセリングで、アリスの現実が歪みはじめた。両親と姉を奪った火事は、本当に事故だったのか?
白いウサギを追って不思議の国に迷い込んだアリスは、地獄の汽車が世界を破壊していることを知る。かつての仲間たちも以前と同じように、あるいはそれ以上に狂っていた。
アリスは汽車を止め、平穏を取り戻せるか?

まさか10年後に続編が出るとは思わなかった。発売前からショットが出回って、期待度はぐんぐん上昇した。

いやぁ、最新技術で生まれ変わったアリスの美しいことよ! 不思議の国の強くて自由なアリスもいいけど、現実世界の薄汚れた、しかしあらゆる支配を拒絶する目をしたアリスもたまらない。ぞくぞくする。現実世界と不思議の国のギャップが、アリスの魅力を高めている。

しかしゲームはまたも駄目だった。難易度もさることながら、単調すぎる。ステージが変わっても、やることは同じ。いろいろ趣向は凝らしているのだが、ワクワクするような展開はない。それだけに作り込まれたステージが惜しまれる。どのステージも舌を巻くほど美しいのに。「火の巻物」や「トランプの橋」などは、ただそこにいるだけで満足できる。ゲームが、世界観の魅力に追いついていない。

ストーリーも難解だ。要領を得ない会話、記憶の断片、チェシャ猫のつぶやき......。ありったけの想像力をフル活用しても理解できない。状況がわからないと、ゲームへの没入度も下がる。
せめて吹き替えだったなら──。Xbox360は解像度が高いので、字幕が小さく読みづらい。おまけに改行もぞんざい。どうも愛のある日本語化じゃない。ストーリーに没入できれば、ゲームの単調さは我慢できたかもしれない。まぁ、狂った世界で、すっきり理解できる物語を期待するのも無茶か。

すごく好きなんだけど、私のようなアリス中毒者でなければお薦めできない。お薦めできないが、すごく好き。以下、お気に入りポイントを挙げておく。

  • ムービーシーンで使われる紙芝居のような演出。
  • 不思議の国に召還され、変身する瞬間のエフェクト。
  • 蝶のイメージ。ダッシュ時、浮遊時、そして死亡時に見える蝶が美しい。
  • 小さくなったときに見えるヒント。「うぃ」というアリスの声。
  • ジャンプと滑空の気持ちよさ。吹き上げられながら周囲を見渡す高揚感。
  • 拾い集めていく「歯」は、子どものころの暗示か。
  • ペッパーミルのハンドル。
  • はじめてヒステリーモードになった瞬間。
  • 現実と不思議の国の境界があいまいになるマップ。
  • 脳天に穴を開けられた部屋。
  • 女王様の禍々しい手。
  • 現実世界でのラスボスの倒し方。および、その代償。

いっそ映画化してほしいけど、ティム・バートン監督が『アリス・イン・ワンダーランド (2010)』という似て非なるものを撮っちゃったから、無理かなぁ。
また10年後、私が50歳になったときに、アリスと再会したい。



Steam: Alice: Madness Returns

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