コスモス・ピンクショック Cosmos Pink Shock

1986年 アニメ 4ツ星 SF:スペースオペラ コメディ

「会費は年払いで!!」

OVA黎明期の作品。アニメ誌や店頭でポスターを見て、興味をそそられる。さらさらヘアーにレオタード、どこを見てるかわからない瞳。SFらしいが、ストーリーはよくわからない。見てみたい。
しかし当時、私は15歳。OVAを買う経済力も、レンタルビデオ屋をまわる機動力もなかった。で、実際の映像を見たのは24年後。なるほど、こういう作品だったのか。声や動き、性格にすごいギャップを感じるが、見る前にどんなイメージを抱いていたのか、わからなくなってしまった。

17歳のミッチはピンクショック号で宇宙の中心へ突っ走る。子どものころに誘拐されたヒロちゃんと再会するためだ。決して止まらず、迂回もしないピンクショック号は、行く先々で騒動を起こす...。と言うのが大筋。シリーズ連載を前提にしていたが、最初の1本で打ち切り。なのでヒロちゃんとの再会はなく、ミッチの旅は途中で終わってしまう。なんとも中途半端だが、これはこれでいいような気がする。

ミッチは不可解だが、妙に魅力あるキャラクターだった。あこがれのヒロちゃんは美男子ではないし、ふたりとも子どもだったから確たる恋愛感情があったとは思えない。そもそも実在するのかどうかも不明だ。なのにミッチは4歳で家を出て、13年間も、たった1人で追い続けている。「決して止まらない」と強い意志を示しながら、「オバンになる前に会いたい」と焦りも見せる。
ミッチの旅は根拠があいまいなので、その結末に興味が向く。ミッチを夢中にしたヒロちゃんを見てみたい。ミッチにファンクラブができるのも当然かもね。

一途な少女が、いまも宇宙を一直線に飛んでいる──。
そう思うと、なんか壮大な物語に思えてくる。オチのない物語は好きじゃないのだが、本作は例外のようだ。

エンディングのあとにピンナップ集がある。BGMは男たちの大合唱。これも、黎明期ならではの試行錯誤かもね。

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