ロックアップ Lock Up

1989年 外国映画 3ツ星 囚人 @S.スタローン

スタローンの肉体に嫉妬する

刑務所でいかれた所長に睨まれたらどうするか? 囚人の立場は絶望的なまでに弱い。無視しても、どこかで限界が来る。どこまで我慢して、どこで爆発するか。その緊張感がよかった。

スタローンが荒くれどものフットボールに挑むシーンがかっこいい。卑劣なプレイを受けても、正々堂々と戦うことで、みんなの信頼を得る。あのシーンがなかったら、終盤で看守たちが味方してくれることもなかっただろう。
もちろん、スタローンの肉体があってこその話だ。私が同じことに挑戦しても、結果は虚しいものになる。正々堂々と生きるには、それに応じたパワー、肉体的説得力が必要だ。スタローンの肉体に嫉妬しないと言えばうそになる。尊敬とは、嫉妬の先にある感情なのだ。

スタローンはこの窮地をどう脱するのか? 娯楽映画だから、我慢して終わるわけがない。しかし脱獄してハッピーエンドはあるまい。映画は正々堂々と問題と向き合って、解決してしまった。いささか都合がよすぎるきらいもあるが、ほかに方法もなかった。

力なき正義は無力なり、正義なき力は暴力なり。
強さにあこがれる。娯楽映画、かくあるべし。

ページ先頭へ