アンダー・サスピション Under Suspicion

2000年 外国映画 5ツ星 刑事・警察 法廷

久々に見応えあるサスペンス映画

舞台がほとんど警察署から動かない構成や、回想シーンに割り込む演出がおもしろい。結末をふまえて見直すと、シーンごとのキャラの気持ちが見えてきて、いっそう楽しめる。パーティのスピーチで、ハックマンが親子の絆を強調した。それは妻への救援サインだったのだが、嫉妬深い妻にはどう聞こえたか。じつに興味深い。

弁護士は、義理の弟の若さをねたんでいる。妻は、衰える美貌を憂いつつ、若い少女たちを憎んでいる。妻は、自分があわれと訴えるが、老刑事が言うように、どっちが異常かわからない。このとき、妻も容疑者になりえたはずだが、老刑事はその可能性を無視する。それは老刑事が、裕福な弁護士をねたんでいたから。
嫉妬が、人々の目を曇らせている。そして人々の思い込みが、事件を作ってしまうのだとわかり、戦慄した。

物語は、"その先"も描いている──。
すべてを捨てる覚悟をした夫婦は、しかし触れあえず、離れて座る。その距離は、18mよりは短い。あるいは、老刑事への当てつけか。やがて弁護士は立ち上がり、どうしたか?
そこに希望を見いだしたい。

ページ先頭へ