悪魔の手毬唄 (石坂浩二#2) Akuma no Temariuta | The Devil's Ballad
1977年 日本映画 4ツ星 #金田一耕助恐るべきは岸恵子の魔力
市川崑の描く金田一耕助は、いつも現地に知り合いがいない「孤独な来訪者」として描かれる。しがらみが招いた悲劇を解決できるのは、しがらみのない人間だからだ。
しかし本作は例外として、知己として磯川警部(若山富三郎)が登場する。磯部の私的な依頼に、金田一は恐縮し、礼金を固持する。一連の流れは金田一の人柄をよくあらわしており、好感がもてる。また磯川が青池リカに寄せる想いも、静かだが力強い。磯川は多くを語らないが、すごい存在感だ。
強烈なのは、青池リカを演じる岸恵子。本作の殺人シーンやトリックはおもしろいものの、中年女性による犯行としてはリアリティに欠ける。老婆に化けて捜査をあざむき、なんの罪もない知り合いの娘を殺し、その死体をもてあそぶ。理知的でありながら残忍。繊細にして大胆。こんな犯行を、誰ができるだろう?
しかし、そう、この青池リカなら、やりかねない。彼女がやると決めたなら、誰に気づかれることなく、やり遂げてしまうだろう。不埒な男を愛してしまった女の末路。岸恵子の演技力がなければ、この映画は成立しなかった。
トリックに無理があるのに、完成度が高い。後年の映像作品と比較すると、いかに本作が計算されていたかわかってしまう。おもしろかった。
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