[レビュー1978年02月11日に発表された 

女王蜂 (石坂浩二#4) Jooubachi | Queen Bee

#金田一耕助
更新日:2017年04月10日(月) 22:58 [Edit]

狂気は1つじゃなかった

ヒロイン智子を演じる中井貴恵さんは、絶世の美女とは言いがたいが、スターの遺児という生い立ちが智子に重なる。Wikipedia の記事を読むと、現場で愛されていたことがわかる。そうしたメタ情報を知ると、作品を見る楽しみが増える。

さておき本編。舞台を月琴島から月琴の里に移し、高貴な血筋の当主を女性に変えているが、最初からそうであったかのように違和感がない。複雑な人間関係も、テンポよく紹介されている。序盤は多門連太郎に注意を向けさせる演出もうまい。

ストーリーのキモは、動機だ。金田一の調査によって手口は見えてくるが、動機がわからない。大道寺銀造(仲代達矢)の素性がわかっても、闇は晴れない。父を破滅させた東小路家への怨みから、親友を殺したのはいいとしても、その血をひく愛娘に近づく者まで排除したのはなぜか? 仲代達矢の顔が怖い。見てはいけない闇が浮かび上がってきたところで銃声。狂気は1つじゃなかった。

動機を隠したまま終わる推理モノがあっただろうか?

後日談もじっくり描かれるが、だれも動機について触れない。過去に光を当てず、埋めておくことにしたのだ。暗黙の了解が怖い。
ラストが秀逸。神尾秀子の編み物を金田一が受け継ぐ。そこへ等々力警部がやってきて、声をかける。劇中はさんざん馬鹿にしていたが、あえて謝意は告げず、「また会おう!」と言う。なんて清々しい。

難しい物語をよくまとめている。市川崑監督にあらためて敬意を表したい。

金田一耕助
石坂浩二
渥美清
古谷一行
  • 名探偵・金田一耕助シリーズ
  • 1.本陣殺人事件(1983)
  • 2.ミイラの花嫁(1983)
  • 3.獄門岩の首(1984)
  • 4.霧の山荘(1985)
  • 5.死仮面(1986)
  • 6.香水心中(1987)
  • 7.不死蝶(1988)
  • 8.殺人鬼(1988)
  • 9.死神の矢(1989)
  • 10.薔薇王(1989)
  • 11.悪魔の手毬唄(1990)
  • 12.魔女の旋律(1991)
  • 13.八つ墓村(1991)
  • 14.悪魔が来りて笛を吹く(1992)
  • 15.女怪(1992)
  • 16.病院坂の首縊りの家(1992)
  • 17.三つ首塔(1993)
  • 18.迷路の花嫁(1993)
  • 19.女王蜂(1994)
  • 20.悪魔の唇(1994)
  • 21.悪魔の花嫁(1994)
  • 22.呪われた湖(1996)
  • 23.黒い羽根の呪い(1996)
  • 24.幽霊座(1997)
  • 25.獄門島
  • 26.悪魔の仮面(1998)
  • 27.悪霊島
  • 28.トランプ台上の首(2000)
  • 29.水神村伝説殺人事件(2002)
  • 30.人面瘡(2003)
  • 31.白蝋の死美人(2004)
  • 32.神隠し真珠郎(2005)
鹿賀丈史
豊川悦司
上川隆也
稲垣吾郎

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