屋根裏の散歩者 (実相寺監督版) The Watcher in the Attic
1994年 日本映画 3ツ星 主人公は犯罪者 倒叙 探偵 @江戸川乱歩ちぐはぐな演出
あらすじ
1920年代半ば、東京市のとある遊民宿。くだらない住人たちの、くだらない会話に飽き飽きする青年・郷田三郎(三上博史)。同じ宿に素人探偵・明智小五郎(嶋田久作)が住んでいる。
ある日、押し入れから屋根裏に登れることを知った郷田は、住人たちの生活をのぞき見するようになる。郷田は興味本位で住人のひとりを殺害。完全犯罪を為したと興奮するが、明智小五郎の心理試験によって暴かれてしまう。
傾いた構図、不自然な光源、自己主張の激しい効果音、ソフトフォーカス。いつもの実相寺演出が冴えるが、屋根裏から見える世界が魅力的なら、郷田が殺人を犯す理由もない。郷田は、屋根裏の散歩にも飽きてしまうことを省略しないでほしい。
まぁ、実相寺演出があっても屋根裏の散歩は単調。エロシーンが多くともドラマはないし、実生活とのギャップも楽しめない。飽きる。これって、監督が狙った効果だろうか?
郷田は理由もなく殺人を犯してしまうが、その心理は描かれない。原作通りヤレとは言わないが、犯罪者の心理を、ふつうの人にもわかるように描いたところが魅力なのに。
技巧ばかり凝らして、方向性を見誤っている。死体が見つかったあとの行動もわからない。明智小五郎に暴露されて、それでどうなったのか?
短編を長編映画にするのだから、住人たちの裏と表に戸惑うとか、屋根裏から見た事実を言えなくて窮地に陥るとか、そうした展開がほしかった。
屋根裏の散歩者
- 1988 日時計館の美女 / 江戸川乱歩シリーズ (北大路欣也版#04) ... なぜか宝探しに。エロわずか。
- 1994 屋根裏の散歩者 (実相寺監督版) ... 異次元版。「心理試験」と統合。エロ多め。
- 2007 エロチック乱歩 屋根裏の散歩者 (監督:三原光尋) ... 現代版。エロ少なめ。
- 2016 1925年の明智小五郎 (全3話) / シリーズ・江戸川乱歩短編集 #01 ... 原作に忠実。
- 2016 屋根裏の散歩者 江戸川乱歩エロティックシリーズ (監督:窪田将治) ... ただの殺人。エロ多目。