立喰師列伝 Tachiguishi-Retsuden / The Amazing Lives of the Fast Food Grifters
2006年 日本映画 3ツ星 @押井守やばい、ヤツは映画のプロだ...!
恐るべきは、この映画で興業が成り立つことだろう。押井守の個人的な趣味であり、出演者も知り合いばかり。つまるところ本作は、押井守がお世話になった人たちとの記念に作ったプライベート映像である。その制作費をスポンサーからぶんどって、劇場で上映してしまうのだから、本当にすごい。
好きなことを好きなようにやるために、どれほどの努力がいるのだろう?
私は古参の押井守ファンであり、『うる星やつら』第122話「必殺! 立ち食いウォーズ!!」や『赤い眼鏡』などで立喰師にも馴染みがある。それでも初見はつらかった。どこをどう楽しめばいいのか、
どこをどう楽しめばいいのか、よくわからなかった。
しかし2度目はおもしろくなった。押井節は耳に聞こえても、意味を理解するのに時間がかかる。2度3度と見ることで、状況が把握でき、その可笑しさがわかってくるようだ。「すでに滅びた職業」というキーイメージをつかめば、世界観やキャラクターが理解できる。あとは好き嫌いだけ。そして私は嫌いじゃなかった。
- 月見の銀二 (吉祥寺怪人) ... 説教がないのは反則。つかみはオッケーじゃない。
- ケツネコロッケのお銀 (兵藤まこ) ... これまた芸が難解すぎ。ビジュアルは素晴らしい。
- 哭きの犬丸 (石川光久) ... 負けることで勝つ。よく思いつくな。
- 冷やしタヌキの政 (鈴木敏夫) ... 頭がくらくらしてきた。総括してくれ。
- 牛丼の牛五郎 (樋口真嗣) ... システム崩壊の予感。
- ハンバーガーの哲 (川井憲次) ... 七面六臂の神山店長が素晴らしい。
- フランクフルトの辰 (寺田克也) ... 立喰師にあこがれる男。母親との会話がつらい。
- 中辛のサブ (河森正治) ... 手がつけられない怪物だ。
いろんな意味で分類の難しい映画だ。