秒速5センチメートル a chain of short stories about their distance

2007年 アニメ 5ツ星 学校 恋愛

どこでボタンを掛け違ったのか...

なにが足りなかったのか。どうすれば手が届いていたのか。「待つ」だけの人生なんて悲しすぎる。あるいは、手が届くことが幸福ではないのか? むしろ正しいのは明里かもしれない。それじゃ花苗はどうなる? そしてもう1人の彼女は? せつない。せつなすぎる。

それにしても映像の美しさは比類ない。ここまでリアルだと、アニメにする意義を問いたくなる。実写に近づけると言うより、実写から余計なものを省いたようだ。目を閉じて、雪の夜、夏の空、春の風を思い出す。なんと鮮烈なんだろう。世界の無情さに押しつぶされ、そして同時に救われる。秒速5センチメートル。はらはらと、時は流れていく。

この映画を胸の奥にしまっておくと、軽やかに生きていけるかもしれない。

ページ先頭へ