新網走番外地 流人岬の血斗 Shin Abashiri Bangaichi: Runin-masaki no ketto

1969年 日本映画 4ツ星 任侠映画

刑務所から出られない男

新網走シリーズ第2弾。オープニングの口上はおもしろかった。役者さんに案内させることは当時、どのように見られたのだろう?

ストーリーは単純だが、それがいい。造船会社の社長(志村喬)はとことん善人で、ヤクザ(安部徹)はとことん卑怯で、いっさいブレない。囚人や職員の交流を描きつつ、友(大木実)の死によって怒りを爆発させる。かぁっこいい!
しかし正義を果たしたことで、高倉健は出所できなくなる。恩人や仲間たちと別れ、家庭をもつ夢に破れ、ひとり網走に送還される姿はあわれだった。後年の『冬の華』につながる男の悲哀が芽生えはじめている。

今作の高倉健は最初から飛ばしまくり。仲間を小突いたり、職員にさからうセリフや動きは、どこまで台本にあるんだろう。自然な演技に驚かされる。

歌が4回も挿入され、子どもが指切りを求めるなど、あざとい演出も多いが、その分、印象的な1本だった。

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