隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS Kakushi toride no san akunin - The last princess

2008年 日本映画 3ツ星 チャンバラ 時代劇

なんとも情けない恋の逃避行

目的は敵国を突破し、姫と財宝をもって友好国に落ち延びること。武芸者は1人。平民2名はいつ裏切るかわからない。敵の侍大将は強く、残忍で、賢く、おまけに執拗だ。絶体絶命の窮地においても、姫様は人を殺せず、無理難題を言いはじめるが、そこに高貴なる血筋が目覚めはじめる。中盤までの興奮は特筆に値する。

しかし平民と姫様のラブが見えはじめると、一気に冷める。命がけの脱出劇は、ヒロインを悪漢どもから救い出すヒーロー活劇となった。こうなると、どんなピンチを乗り越えても、へぇ、としか感じないから不思議だ。
姫様のように女性が同じクラスにいれば、惚れる高校生もいるだろう。しかし武士をうらんでいた平民と、これから国を立て直そうとする姫が、恋に落ちるとは思えない。身分の差を越えたなら、友好国に脱する必要はないし、ともに生きる決意があれば、家臣となったはず。
つまりアレだ。不安定な吊り橋の上で若い男女が欲情したが、渡りきったら冷静になって、互いに身を引いただけ。主人公が褒美も受け取らずに去ったのは、やましい気持ちがあった証拠だ。じつに情けない。

2007年版『椿三十郎』を見たときに感じたのと同じ気分。オリジナルは見たことないが、きっとおもしろいんだろうなぁ。

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