羅生門 Rashomon

1950年 日本映画 4ツ星 ★妄想リメイク チャンバラ ドラマ

演出に圧倒される

古い映画だから、ダイナミックな撮影技法はないし、テンポが悪いと感じる部分はある。しかし最後まで見たとき、深い感銘があることも事実。有名な映画だから、ハロー効果もあるだろうが、おもしろかった。

不可解な『藪の中』に一定のスジを通し、人間不信を題材にしたストーリーはお見事。このストーリーを軸に、さまざまな演出が施されており、それを読み解くのがおもしろい。
巨大だが、荒廃しきった羅生門は、人間社会の象徴か。そして土砂降りの雨が、人間不信におちいった杣売りの心象をあらわしている。ラストに晴れて、希望が見いだされるが、羅生門そのものに変化はない。なのに世界が一変したような印象を与えている。
杣売りの語る真相(立ち回り)がノーカットなのは、それが真実だからだろう。多襄丸の高笑いは、じつは気弱さの裏返しだった。寡黙な武士は、卑屈な内面を隠していた。そして真砂は奪われることより、捨てられることを恐れていた。ミステリアスな事件だが、真相はつまらない意地の張り合いだった。演技やアングルの意味がわかったときの衝撃が心地よい。

おもしろかった。


芥川龍之介「藪の中」

関連エントリー