MW-ムウ- MW

2009年 日本映画 1ツ星 @手塚治虫

冒涜的な作品を冒涜的に扱う罪深さ

いやぁ、ひどい映画だった。ツッコミどころ満載で、もう笑うしかない。制作サイドの事情は知らないが、本当にひどい。どこがどう駄目で、どうすべきだったか、論じる気にもなれない。

ただ、原作については述べておきたい。『MW(ムウ)』は手塚治虫漫画全集の301-303で読むことができる。あとがきを読むと、手塚治虫の苦悩が伝わってくる。原作者が失敗したと悔いる作品を映画化するのに、中途半端なことは許されない。こんな映画化なら、やるべきじゃなかった。

あとがき

従来の手塚カラーを打ち破り、あっけにとられるようなピカレスクドラマを書いてみたいと思って、この物語の構想を立てた。
ありとあらゆる社会悪──暴力、裏切り、強姦、獣欲、付和雷同、無為無策......、とりわけ政治悪を最高の悪徳として描いてみたかった。が、今となって遺憾千万なのは、すべて描きたりないまま完結させてしまった、自らの悪筆に対してである......。

──手塚治虫
昭和53年4月 MW第1巻小学館刊 ビッグコミックスより
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