沈まぬ太陽 The Sun That Doesn't Set

2009年 日本映画 2ツ星 ドラマ

コップの中の嵐

行天(三浦友和)の行動原理はわかるけど、恩地(渡辺謙)がわからない。恩地はなぜ会社にこだわるのか? なにを成そうとしてるのか? 巨悪と戦う姿はヒーローっぽく見えるけど、彼が守りたいのは社員であって、社会正義じゃない。もっと言えば、仲間のために働く自分に酔っているだけだ。
本作はフィクションだが、モデルとなった日本航空が経営破綻した現実を見ると、全国民にとってはなはだ迷惑な権力闘争だったと言える。こんな経営陣は一掃してしまえ。

本作は、中東やアフリカでの勤務を差別的に描いている。まぁ、当時の価値観では、海外勤務は負け犬だったかもしれないが、いまはちがう。アフリカの太陽に慰めではなく、希望を見いだす時代なのだ。そういう意味で本作は、これからの世代にメッセージを発していない。原作が悪いわけじゃない。2009年に映画化するなら、ちがうアプローチがあったのではないだろうか?

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