ロッキー・ザ・ファイナル Rocky Balboa | ROCKY THE FINAL

2006年 外国映画 5ツ星 スポーツ @S.スタローン

心を歳をとらないが、たゆまぬ努力を要する

エイドリアンが死に、息子が巣立ち、静かに余生を送るロッキー。何不自由ない暮らしに見えるが、ロッキーはなにかを渇望している。
「まだ奥底でなにかが燃えてる」
それはなんなのか、はっきり言葉にされない。でも、なにかあることは、ロッキーも、周囲の人々も、観客もわかっている。言葉にできない気持ちをこれほど共有できる映画も少ない。

素晴らしいのは、ロッキーのライセンス登録が、現チャンピオンの対戦相手に指名される前だったこと。これまでのようにチャンスが転がり込んでから、努力するわけじゃない。日々のたゆまぬ鍛錬があればこそ、ライセンスが取得でき、ライセンスがあったからこそ試合が実現した。
心は歳を取らないことをロッキーは証明したが、それは瞬発力の成果じゃない。

「全身の関節がさび付き、スピードも失われて、スパーリングもまともにできない」
老いによって失われたものは多いが、ロッキーは残されたもので戦った。ロッキーのトレーニングはいつも興奮するが、今作はひとしおだ。そしてリング上で晒される、60歳とは思えぬ肉体。CGじゃないのか。

アナウンサーはロッキーの分が悪いと連呼するが、もしかしたらロッキーのギブアップを覚悟していたのかもしれない。あるいは期待か? しかしロッキーは何度も立ち上がる。興奮は最高潮に達する。もう一週間は座れない。
ディクソンが「イカレたジイさんだ」と言うと、「おまえもそうなる」と返される。ぶるるっと来た。これは最高のプレゼントだ。

個人的には、ロッキーにからんだ不良少女がよかった。ロッキーの栄光を馬鹿にしてたのに、テレビ中継に夢中になって、敬意を払った。ボクシングがこれほど人の心を揺さぶるスポーツとは思わなかった。

いつしか私たちは、ロッキーとスタローンを同一視する。ロッキーが実在の人物に思えてくる。すごい映画だった。

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