点と点がつながらないリアル。
あらすじ
ヘンリーは森林火災監視員として、監視塔で寝泊まりすることになった。近隣の監視塔に駐在している上司デリアと、ときどき無線で会話する。
ある日、ティーンエイジャーの女の子たちが禁じられた花火を興じる。注意すると、腹いせにヘンリーの監視塔が荒らされた。不審な出来事がつづくが、女の子たちのテントが襲撃されたことで、べつの人物が森に潜んでいることがわかる。
それはヘンリーの前任者・ネッドだった。ネッドは不注意で死なせた息子の死体を森に隠し、だれも近づかないように工作していたのだ。
森林火災が大きくなり、ネッドはいずこかへと消えた。ヘンリーとデリラもヘリで脱出する。最後までデリラと顔を合わせることはなかった。
1人称視点のアドベンチャーゲームだが、冒険らしい冒険はない。森林のあちこちを歩き回り、鍵を開ける、ものを拾うといったインタラクトはあるが、まぁ、それだけ。位置関係も重要じゃない。ピクチャードラマで十分だが、監視塔から森を見たり、歩いたりするのは没入感はあった。
そして拍子抜けするラスト。ヘンリーとはなんの関係もない悲劇だった。悲劇と言えば、ヘンリーの妻が病気になったこともストーリーと関係しない。彼自身が望んたとおり、ここは自分と関係ない世界だった。
リアルと言えばリアルだし、無線で女性と会話するのも楽しかった。独特の空気で、似たゲームがない。でもまぁ、物足りない感じはする。あっと驚く事件が起こってほしいわけじゃないが、主人公の成長をうながすドラマを見たかった。
ネットを検索していたら、「真犯人はデリラで、ネッドは存在しない。ヘンリーはデリラの不関与を証明する役割だった。」という考察を見つけた。言われてみるとスジが通る。おもしろい。
開発者にどんな考えがあったにせよ、ゲームをプレイした10人中9.8人は、「なにもないゲーム」と感じただろう。届かなければ、意味がない。やはりあと一歩、踏み込んだドラマが欲しかった。