エルム街の悪夢 (リメイク) A Nightmare on Elm Street

2010年 外国映画 2ツ星 ★妄想リメイク 学校 殺人鬼

ただの変質者だった

ディーンの告白を否定するクリス、クリスの不安を無視するジェシー、ジェシーの釈明を信じないナンシー、ナンシーの反撃をたしなめるクエンティン──。
ホラー映画では、人々が信じようとしない「真実」に気づいたものが主人公となるが、本作は順繰り拒絶されるので、だれも主人公サイドに立てない。また主人公が特定されないため、感情移入しづらい。作劇がへたくそだ。

新生フレディもひどい。リメイクは原点回帰でジョークを言わないと決めたそうだが、フレディが夢の世界での万能を楽しんでくれないと、怖さも盛り上がらない。モンスターへの恐怖ではなく、変質者への不快感しかわき起こらない。
現実世界に引っ張り出されても強いのもがっかり。あそこは情けないほど弱くなるべきだろう。用務員フレッドともちがいすぎる。キャラクターが確立されてない。

はっきり言って、このリブートは失敗だった。なんの魅力もありゃしない。シリーズ化されるそうだが、資源の無駄遣いになるだろう。

妄想リメイク

 ナンシーは屋根裏部屋で見つけた写真や新聞記事から、過去の事件を知った。
 10年前、エルム街の幼稚園で園児たちが性的な悪戯をされる事件が起こった。容疑者として用務員のフレディ・クルーガーが挙げられたが、証拠がなかったため釈放される。しかし親たちの怒りはおさまらず、幼稚園の倉庫で生きたまま火炙りにされた。
 子どもたちの親は町の名士ばかりだったので、事件は隠蔽された。子どもたちも精神科医による暗示と投薬によって、記憶を封じられた。何事もなかったように子どもたちは成長した。
 いま、愛する子どもたちが殺されたことで、親たちにも動揺が走っていた。死に方も異常だが、子どもたちが口走っていた「夢にあらわれる男」は、フレディ・クルーガーにそっくりだったからだ。親たちも連絡を取り合い、警戒していた。

 ナンシーは思い出した。あのころ、ディーン、クリス、ジェシー、クエンティン、ナンシーの5人は、用務員のフレディと仲良く遊んでいた。倉庫の奧に造られた秘密の部屋で、フレディは「夢で遊ぶ方法」を教えてくれた。めくるめく夢の世界に、子どもたちは魅了された。しかし遊びが過ぎて、自分たちの身体を傷つけることもあった。そしてディーンが昏睡状態になり、警察が踏み込むことになった。
 フレディは無実だった。少なくとも現実世界では、子どもたちに触れることもなかった。しかし親たちの疑惑を晴らすことができず、火炙りにされた。子どもたちも、親の剣幕を恐れて沈黙した。現実のフレディは死んだが、その魂は夢の世界に逃れた。そして今、復讐している。親ではなく子どもを狙うのは、子どもたちがフレディを裏切ったからだ。

 ナンシーは完全に忘れていたため、クエンティンは薬によって夢を見なかったため、今日まで無事でいられたが、これから先はわからない。クエンティンは、フレディに詫びて、許してもらおうと言う。ナンシーも同意するが、もし駄目だった場合はフレディを夢から引きずり出して殺すしかないと考え、準備した。
 ナンシーが眠って、クエンティンが起こすことになった。夢の中でナンシーはフレディを見つけ、詫びるが、フレディは笑うだけ。フレディは狂っている。詫びて済むような相手じゃない。ナンシーはフレディを夢から引きずり出そうとする。
 クエンティンも薬が切れて寝てしまうが、電流を流す仕掛けで目覚める。ナンシーを起こして、フレディを引きずり出した。フレディは強そうに振る舞うが、現実世界では大したことなかった。ナンシーとクエンティンは協力して、フレディを撲殺した。

 翌朝、ナンシーとクエンティンは親たちに事情を説明する。親たちは信じられなかったが、理路整然とした説明に納得せざるを得なくなる。忌まわしい事件だったが、とにかく解決したのだ。
 数日後──。ナンシーとクエンティンは、バスで学校に向かう。浮かない顔のナンシーに、クエンティンが話しかける。ナンシーは、フレディがターゲットをすぐ殺さなかったことに疑問を抱いていた。いたぶって楽しんでいたのか、それとも自分の伝説が広がることを待っていたのか。子どもたちの記憶がもどったことで、フレディが復活し、その話を聞いたことでフレディを夢見るものが増えていったとしたら?
「そう、フレディの伝説がまたはじまるのさぁ!」
 振り返ると、バスの運転手はフレディだった。バスの窓に鉄格子が下りて、2人は不気味なトンネルに飲み込まれていく。ナンシーは絶叫する。
「これは夢よ! 起きて! 起きてーッ!」

(おわり)

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