あしたのジョー (実写映画) Tomorrow's Joe

2011年 日本映画 3ツ星 スポーツ ドラマ

単なる実写化じゃん

映像は迫力がある。役者さんの演技も悪くない。矢吹丈(山下智久)が現代っ子に見えるのも、まぁ、許容できる。問題は、ストーリーに魅力がないことだ。
矢吹はどこから来たのか? なぜボクシングをやるのか? 力石をどう思っているのか? 決着がついたとき、彼の胸に去来したものは? そして明日は?

もともと矢吹丈は、その魅力とは裏腹に背景のない男だった。空っぽと言い換えてもいい。マンガやアニメは、長い時間をかけて描いてきたので、その内面を察することもできる。しかし2時間の映画で想像するのは無理だ。原作ファンでないと楽しめないなら、実写化の価値は乏しい。
どうせなら現代を舞台にした「明日のジョー」を見たかった。何不自由なく育った矢吹丈がボクシングに傾倒し、つぶやく。

「そこいらの連中みたいにブスブスとくすびりながら不完全燃焼してるんじゃない。
 ほんの一瞬にせよ眩しいほどに真っ赤に燃え上がるんだ。
 そして後には真っ白な灰だけが残る。
 燃えかすなんか残りやしない...真っ白な灰だけだ」

世代を超えて伝わるメッセージだろう。そんな「明日のジョー」を見たかった。
それと主題歌「Show Me Love (Not A Dream)」はいいね。最初は戸惑ったものの、じわじわ震えが来た。映画は、この主題歌に負けている。

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