阿部定 最後の七日間 Abe Sada Saigo no Nanoka-kan

2011年 日本映画 3ツ星 主人公は犯罪者 実話に基づく

麻美ゆまの声がいい

「阿部定事件」を描いたドキュメンタリーのような映画。セックスシーンが大半を占めるが、殺人に至る過程を回想している最中だから、むらむら興奮することはない。こんなまじめに作られているとは思わなかった。

阿部定といえば猟奇的な妖婦という印象だが、本作で描かれる彼女はふつうの女だった。独占欲が強く、底抜けのセックス中毒者だが、異常者ではない。彼女のいる部屋で情夫が死んだのは事実だが、「殺した」と言えるかどうか。なのに刑事は「世間が納得する結末」を強要し、阿部定もそれを受け入れてしまう。ラジオで阿部定は「微笑みさえ浮かべ」と報道されていたが、狂気の笑みではなかった。
なるほど。おもしろかった。

麻美ゆまはかわいい。セックスシーンより、怒ったり、すねたりする声に興奮してしまった。彼女を満足させられる精力があれば、放っておけなくなるだろう。その思いが破滅につながるのか。古い事件だが、現代にも通じる構図があるね。

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