ダークエイジ・ロマン 大聖堂 (全8話) The Pillars of the Earth

2010年 海外ドラマ 4ツ星 ドラマ 歴史

役に立たない大聖堂が支えとなる

無政府時代の混迷を描くだけでもおもしろいが、ドラマの主軸に「大聖堂」を据えた着想がすごい。役に立たない大聖堂より、産業インフラや城壁を築いた方がよさそうなものだが、大聖堂を築こうとする人々の意志が時代を動かしていく展開は感動的だった。
ふりかえると、トムが「15年で完成します」と言い切った知恵が素晴らしい。「数十年」とか「わかりません」と言ったら、そもそも着工しなかっただろう。完成型が見えないまま着工し、あとから技術を反映させていく。理屈と保証ばかり求める現代人が忘れてしまった精神だ。

序盤は物語の方向性が見えず、キャラクターの多さに混乱する。しかし劇中時間が進むと、不思議と各位の生き様が際立ってくる。
興味深いのは、血の継承が否定的に描かれているところ。悪辣なウィリアムや卑屈なアルフレッドは、その好例だろう。原作では、リチャードは戦争バカとして描かれているそうだ。技術や思いは受け継がれていくが、それは血の継承ではないという、本作のテーマがうかがえる。

  1. 無政府時代 (Anarchy)
  2. 聖堂炎上 (Master Builder)
  3. 聖アドルファス祭 (Redemption)
  4. 戦場 (Battlefield)
  5. 芸術と破壊 (Legacy)
  6. 偽りの代償 (Witchcraft)
  7. 奇跡を呼ぶ像 (New Beginnings)
  8. 終わりなき創造 (The Work of Angels)

お気に入りは魔女エリン。科学的に考えれば、彼女が呪いをかけたはずないが、そうとしか思えない運命の連鎖に圧倒される。当時の人は、さぞや彼女を畏怖しただろう。
ウェイルラン(有本欽隆)も強烈だった。妖怪のごとき野心家だが、人知れず自分をむち打つ二面性がおもしろい。地位ある人物の不道徳は、かくも国を乱れさせるのか。スティーブン1世がモード女帝に敗れても、仲裁役として生き残るしぶとさは、視聴者を絶望させた。偶然が重なって物理的に排除できなければ、ウェイルランはきっと偉人として歴史に名を残しただろう。

キャラクターが多いと思ったが、必要最小限をしっかり描いている。人間の一生なんてちっぽけなものと思いがちだが、そうではない。それは生き様にかかっている。おもしろいドラマだった。

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