ジェシカおばさんの事件簿 (第1期-全22話) Murder, She Wrote (Season 1)

1984年 海外ドラマ 4ツ星 探偵 推理

お婆ちゃんである必要はないが...

あたしはジェシカ・フレッチャー。ミステリー作家です。
頭の中でいろいろ推理を進めながら本を書くのって、本当に楽しい仕事です。
でもいったん本当の事件に巻き込まれると、もう大変。
書くよりそっちの方に夢中になってしまいます。
どうしてこうなんでしょうねぇ?

アンジェラ・ランズベリーは『クリスタル殺人事件』(1980)でミス・マープルを演じているので、どうしても比べてしまうが、それはさておく。

ジェシカは森光子が声を当てているせいか、だいぶ温和な雰囲気。またミステリー作家という設定のおかげで、事件に首を突っ込みやすい。マープルは推理したらあとは警察に任せることが多いが、ジェシカは罠を仕掛け、犯人の逮捕まで描いてくれる。「ミス・マープル」の足りないところをうまく解消している。
反面、マープルのように時代の変化や古い伝統を感じさせる描写は少ない。ぶっちゃけ、ジェシカが老婆である必然性がなく、若手の女流作家に置き換えても成立するが、大きま不満ということはない。

ピーター・S・フィッシャーが脚本を書いたエピソードはおもしろい。テレビドラマだから、質にばらつきがあるのは仕方ない。「クラリネットのすすり泣き」のタクシー運転手や、「授賞式はひめやかに」の詩人など、個性的なゲストが魅力的だった。お気に入りのエピソードを挙げておく。

  1. 海に消えたパパ ... 明らかな不審人物を、ジェシカが信用したことが衝撃的。
  2. 探偵はタフなやつ ... 意表をつく犯人。
  3. 道づれは怖い人 ... 絞殺に刺殺を重ねるのはアイデア。偶然と必然が重なった状況設定も見事。
  4. 天罰は雷雨の夜に ... うるさい奥さんに惑わされたが、真相は驚いた。事件を隠蔽すべきでないとする根拠を、もうちょい話してほしかった。
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