スリーピング ビューティー / 禁断の悦び Sleeping Beauty

2011年 外国映画 3ツ星 文学・古典・童話

予告編で映画の99.9%がばれている

あらすじ

女子大生のルーシーは、学費を稼ぐためウェイトレスや薬物試験などのバイトを掛け持ちしていた。バードマンという病弱な男をひたむきな愛情を示す一方で、男たちとの刹那的なセックスや大麻にふける側面もあった。
お金に困ったルーシーは、秘密クラブの仕事をはじめる。金持ちの老人たちに裸同然の下着姿で給仕するというものだった。そこでルーシーは見初められ、さらに上級の仕事を紹介される。それは、睡眠薬でベッドで眠るというものだった。眠っているあいだ、なにをされているかはわからない。
ルーシーは何度か身をゆだねるが、バードマンの死に直面し、眠っているあいだの行為を知りたくなってしまう。

秘密クラブの老人たちはなにをしているのか? それは、この映画の根幹をなす「謎」のはずだが、なぜか観客に見せちゃっている。知らないのはルーシーだけ。老人たちの行為は、褒められたことじゃないけど、卑猥でも粗暴でもない。こんなバイトをするなら、覚悟しておくべき想定の範囲内だ。つまり、謎が謎になってない。
ルーリーが行動を起こすのはラスト直前。あまりに遅い。これまで無頓着だったことも、突然気になりはじめたことも、余人の理解を超えている。

眠っているあいだの出来事は、いわば「見るなのタブー」である。ルーシーが知らないからこそ成立する関係だから、知ってしまえば終わる。ルーシーに覚悟があったとは思えない。むしろ好奇心を抑えることで、バイトを長くつづけるべきだろう。彼女を純粋に求めてくれるのは、もう秘密クラブだけなのだから。
ルーシーが常識人であれば、これほど混乱することはなかった。若さと健康美をもちながら、彼女は老人たちより死に近い。特殊な状況に特殊な人物の組み合わせは、わけがわからなくなる。

音響をおさえた映像は魅力的なんだけど、難しすぎる。ラストも不可解。ここまで引っ張って、それはないだろう。いろいろ惜しまれる作品だった。

ページ先頭へ