蒼天航路 (全26話) Sōten Kōro / Beyond the Heavens,

2009年 アニメ 2ツ星 戦争 歴史

やっつけアニメ化。

私は原作漫画『蒼天航路』を、モーニング誌上で読んでいた。1994年(23歳)から2005年(34歳)まで11年。全409話で単行本は全36巻。けっこう長い付き合いだった。

『三國志』を敵キャラ・曹操孟徳の視点で描くのは斬新だった。同じ武将、同じ事件も、印象が大きく変わる。物語の楽しみ方が一気に広がった。
画力もすさまじい。感極まれば前衛的になり、物理法則を超えた活躍も躊躇しない。自由闊達。
むろん週刊連載だから楽しめたところはある。単行本で読むと同じことの繰り返しが目立つし、後半は冗長に感じる。それでも傑作だった。

アニメは2022年、Gyaoで視聴した。そもそもアニメの存在を知らなかった。全26話だから、全部は無理とわかっていたが、官渡の戦いで終わったのは意外。だったら呂布の敗退で切り上げてもいいのに。やたら駆け足で描いてきたのは、なんのためだったのか? わからない。

漫画に比べ、アニメはインパクトに欠ける。漫画の味わいをアニメで再現するのは無理だろうが、駆け足展開も相まって、雑に見えてしまう。制作サイドに余裕がなかったのかもしれない。
呂布はどもらず、エコーがかかっていた。どもるほうが「らしい」が、吃音差別と叩かれることを恐れたか。呂布を描くためのアニメ化と割り切ればよかったのだ。

原作漫画の劉備玄徳は好きになれるキャラクターではなかったが、アニメは声優さんのがんばりもあって、いい塩梅に描かれていた。負けてばかりで大言壮語。いい感じ。関羽と張飛は物足りないが、これは出番を削られているためもあるだろう。
曹操陣営では、夏侯惇の出番が少なかったのは残念。曹操の雰囲気はよかったが、後半は闇落ちしたラインハルトのようだった。

アニメはきちんと作ってあるが、原作への愛情はあまり感じない。しかしお金と時間をかけて練り込んでも、やはり原作の迫力は再現できなかっただろう。してみると、これはこれでよかったのかもしれない。

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