[レビュー1965年07月25日に発表された 

四谷怪談 (豊田四郎監督) Yotsuya Kaidan - Illusion of Biood

幽霊 怪談 文学・古典・童話 時代劇
更新日:2016年12月15日(木) 10:49 [Edit]

色悪のあわれを描く

本作の特徴は、貧困から抜けだそうとあがく色悪・伊右衛門をクローズアップしたところ。お岩も伊右衛門を強く憎みながらも、最後は哀れみをかけている。こんな解釈もあったのか。仲代達矢の演技も素晴らしかった。

「幸せは、そんなことでは得られません。これほど言ってもわかってくださいませんか?」
「なんと言おうと、生きるに甲斐ある世の中を見るまでは、負けやしねぇ!
 負けやしねぇ。
 首が飛んでも動いてみせる!」

伊右衛門の狂気もよく描けていた。ネズミに齧られていない証文、お岩と思い込んで斬りつける。お岩の呪いか、伊右衛門の心が病んでいるのか? 恐ろしい。

全体的にはお袖のストーリーが長すぎる。与茂七(お袖の夫)は出番が遅すぎる。直助が目立った分、伊右衛門が小物に見えてしまった。伊右衛門(色悪)と直助(ただの悪)の差別化、与茂七(正義)との対立がほしかった。

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