金田一耕助登場! (全3話) / シリーズ・横溝正史短編集 (池松壮亮) Short Stories of Seishi Yokomizo

2016年 日本ドラマ 4ツ星 #金田一耕助

わぁ、やったね!

「シリーズ・江戸川乱歩短編集」(2016)につづき、横溝正史の金田一耕助の短編が映像化された。しかも前後に「獄門島」(2016 長谷川博己)と、「悪魔が来りて笛を吹く」(2018 吉岡秀隆)がある。NHKはなにを企んでいるのか?

本作で金田一耕助を演じるのは、池松壮亮。もちろん、私は役者さんを知らない。もじゃもじゃ髪が強調され、いささかコミカルだが、屈託ない人柄が似合っている。

描かれる時代は戦前から戦後。都会の退廃、倒錯した性が主題となるため、江戸川乱歩、そして明智小五郎を彷彿させる。
まぁ、金田一耕助というキャラクターの成り立ちを考えると無理ないこと。金田一耕助と言えば、田舎、複雑な人間関係と連想する人たちに、本作はどのように受け止められただろう?

黒蘭姫

シリーズ・横溝正史短編集「黒蘭姫」

焼け野原に取り残された三角ビルがたまらない。百貨店はジオラマを背景にして、人物の動きのみを見てもらっている。ゆっくり文庫に通じる簡略化が好ましい。金田一の思考、行動はさっぱり見えないが、謎が解けたときは「だよねー」と納得する。おもしろかった。

殺人鬼

シリーズ・横溝正史短編集「殺人鬼」

ややこしい人間関係を図説しながら進めていく。わかりやすいが、それ以上に駆け足。私も3度見てやっと理解できた。
加奈子(福島リラ)が強烈。彼女を畏れさせるのは大変だ。そして横溝正史らしい後味の悪さ。
金田一耕助が怪我した手をばんばん叩いたり、ベッドに入ってくるのはおもしろかった。朗読が主体だから、芝居のお遊びが楽しい。

百日紅の下にて

シリーズ・横溝正史短編集「百日紅の下にて」

金田一はアフロで、くまのぬいぐるみを背負っている。ふざけているが、このシリーズなら許される。焼け野原の丘に百日紅。極彩色のイメージが目に焼き付く。状況、心情ともわかりやすい。よかった。


動画を作ったので、見てほしい。編集後記も。

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