イントゥ・ザ・ブルー2 Into the Blue 2: The Reef

2009年 外国映画 2ツ星 宝探し

プロットはいいがストーリーは弱い

『イントゥ・ザ・ブルー』(2005)はあまり印象に残ってないが、続編が制作された。キャラクターや舞台に連続性はなく、「若いカップルが海で宝探しする」シリーズということか。

お宝を偶然見つけるのではなく、「フセインの隠し財宝を一週間以内に見つけ出してくれ」と依頼されるのはいいね。主人公は以前から宝探しをしており、だから指名されたのもスジが通る。依頼者の男女は気さくで、都合の悪いことも正直に話しているように見える。成功すれば莫大な(しかし現実感のある)報酬をもらえるが、協力しないと厄介なことになりそう。こりゃ、断りにくい。観客である私はもちろん罠と察しているが、もし自分の身に起こったら、どの時点で、どんな行動をするだろう? サスペンス映画だと、悪者たちの計画を並行してみることができるが、本作はそれがないため、不気味に見える。

若者たちの日常は、心底、どうでもいい。しかしお宝が見つかるまでガマン。お宝が見つかる。まだ変化はない。しかしフタを開けたとき、物語が動き出す。いいじゃない。新型核弾頭が「フセインの隠し財宝」よりリアルとは言えないが、麻薬よりエキサイティングだ。
さてどうするか、と思ったらヒロインが突飛な行動に出る。状況をひっくり返す妙手ではないが、のちのち情勢を変えていくのはおもしろい。

しかし後半はいまひとつ。洋上ではセバスチャンが依頼者(男)に立ち向かい、陸上ではダニーが依頼者(女)から逃げるわけだが、リンクしそうでしなかった。セバスチャンは友人にヘマをやらせて、どうするつもりだったのか? 彼女の決死の行動を見倣うなら、自分でやればいいのに。一方、ダニーはなぜ看護婦を呼ばなかったのか? なぜ路地裏を走るのか? 賢さが感じられず、やきもきする。
決着もあっけない。依頼者(女)が早々に任務を見切って、上司を殺して逃げたのは意外だったが、まぁ、それだけ。彼女が語っていた戦争の話も宙ぶらりん。結局、ハワイの若者たちに難しいことは理解できなかったわけだ。

ふと気になったことが1つ。犠牲になった友だちを弔うため、若者たちがサーフボードに乗って遺骨を撒いて、水をバシャバシャかきあげるけど、あれってハワイの風習なの? それとも白人が持ち込んだオリジナル文化? しかも散骨に集まったのは若者だけ。両親や親戚らしき人も、中年のサーファーもいない。子どももいない。彼らは年をとったり、世帯をもつと、ハワイから消えてしまうのだろうか? ネバーランドのようだ。

若者たちの生態を知りたい。それは映画で描かれたような恋愛や喧嘩ではなく、もっとリアルな生活感を見てみたいと思った。

ページ先頭へ