秘密の花園 The Secret Garden

1993年 外国映画 3ツ星 ドラマ 主人公は子ども

だれが貴族を弱らせたか。

 バーネット『秘密の花園』の映画化。孤独な少女メアリーが、秘密の庭を通じて成長していくわけだが、それは「貴族としての自覚」を得る道のりでもある。メアリーはメイドのマーサや牧童ディコンを対等の友人として扱うことはないだろう。そういう時代じゃないとわかっていても、複雑な気持ちになる。

 屋敷は古く、広く、暗い。よくこんな建物が残っていたなぁ。貴族の暮らしぶりもよくわかる。ひとりで着替えられないメアリー、無気力なクレイブン。多くの人にかしずかれながら、貴族は生命力を失っていく。

 印象的だったのは家政婦のメドロック夫人。正しいと信じてコリンを幽閉し、メアリーを叱責したのに、その価値を認められず、辞職を願い出ることに。あわれに思えるが、時代の変化を言い訳にできることでもないから、仕方ないのか。うなだれるメドロック夫人を、マーサが労るのがよかった。

 おじさまは笑うことを、私は泣くことを覚えた。

 しかしメアリーの未来に希望を感じないのは、なぜだろう。

ページ先頭へ