ペーパー・ムーン Paper Moon

1973年 外国映画 3ツ星 ロードムービー 家族 犯罪

少女はなにを求めたか?

『王立宇宙軍 オネアミスの翼』のマナは、『ペーパー・ムーン』のアディをモデルにしてると聞いてたが、ぜんぜん違った。古いモノクロ映画と思っていたが、1935年を舞台にした1973年公開映画だった。いろいろ先入観をもってたな。

詐欺師モーゼと少女アディのロードムービー。目的地はあってないようなもの。風の向くまま気の向くまま、詐欺でお金をためていく。アディは詐欺のテクニックを覚え、応用し、獲物を物色するようになる。聡明だが、道を踏み外している。それでいいのか?

旅は唐突に終わる。アディの里親は悪い人物ではなさそう。これで元通り。なんだけどアディはモーゼを選ぶ。
なぜ? 200ドルのため? 犯罪がクセになった? いや、アディはモーゼが停車してると知らなかった。再会できたのは偶然。すると?

確たることはわからないが、アディは「自分の力で生きること」を選んだのかもしれない。アディの生い立ちや近隣住民の態度、保安官が汚職をする世の中を見てしまうと、だれかの庇護があっても安心できないのか。

そう考えると不憫だが、アディはモーゼを変えるかもしれない。
このあたりは妄想で、劇中に描かれたわけじゃない。勝手な妄想で高く評価するわけにはいかないが・・・ハッピーエンドともバッドエンドとも言えない結末はいろいろ考えることができて、おもしろかった。

それにつけてもアディの演技力、存在感はすごい。史上最年少で助演女優賞も納得。タバコをふかす。ぽっこりおなか。階段をがに股で降りる。清楚で無垢な美少女ではないが、生命力がある。
アディをどう育てるか? 紙の月は本物になるか? それはあなた次第。

Say, its only a paper moon
Sailing over a cardboard sea
But it wouldn't be make-believe
If you believed in me

ボール紙の海に浮かぶ 紙の月でも♪
私を信じていれば 本物のお月様♪

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