キャプテン・アメリカ / ウィンター・ソルジャー Captain America: The Winter Soldier

2014年 外国映画 4ツ星 @マーベル

混迷の時代に信じられるものを

監視社会が夢物語でなくなった現代、正義の組織が悪の思想に乗っ取られるというプロットに戦慄する。ヒドラの理念──人類は自由を与えるに値しないが、奪おうとすると抵抗する。なので人々が保安と引き換えに自由を差し出すよう、長い時間をかけて世論を誘導する──にも感服した。これほど手強い悪の組織もなかった。

なにも信じられない世の中で、だれが正義を遂行するか? それはヒーローであり、個々人だろう。ひとりで問題を抱え込んできたヒューリーが、キャプテンに指揮権をゆずるのは感動的だ。理性的には、S.H.I.E.L.D.を破壊すべきじゃないが、いま世界に示すべき規範があった。そして、決戦前の演説にしびれた。

自由の代償は高い。つねにそうだ。
だが、払う価値はある。
ぼく一人でも立ち向かうが、一人ではないと信じる。

キャプテン・アメリカでなければ成立しないメッセージだ。本作はキャラクターが輝いていた。バッキーは本当に強そうで、あわれで、かっこいい。ピアースは暗黒面に落ちたヒーローのようで恐ろしい。サム・ウィルソンとブロック・ラムロウの対比もよかった。ふつうの人間でも鍛錬と機械によってヒーローになれるが、同時に悪辣な敵にもなり得るのだ。エージェント13やマリア・ヒルなど、マーブル・ユニバースに詳しくないとわからないキャラクターも多いが、まぁ、『アベンジャーズ / エイジ・オブ・ウルトロン』や『Agents of S.H.I.E.L.D.』との連携を見据えた登板だろう。本作においてはノイズだが、まぁ、仕方ない。

特典映像で「Steave's Note」の工夫を見たけど、ぜんぜん気づかなかった。スティーブ・ロジャースが現代社会への適合に苦労するシーンは、もうちょい強調してもよかった。ペギー・カーターとの会話も老婆のメイクを見るだけで、移り変わる世界への思いが足りない。それからリアリティに欠ける描写も散見される。
まぁ、細かいところが気になるのは、本作がいい映画の証拠だろう。おもしろかった。悔しいけど、つづきが見たくなった。

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