her/世界でひとつの彼女 Home Alone

2013年 外国映画 3ツ星 SF 恋愛 電脳

これは、どーゆー話なの?

人間と人工知能の恋愛を描いた映画・・・なんだけど、果たして恋愛だったのか?

あまりに特殊

人工知能を「OS」と呼ぶのはヘンだが、馴染みやすさを優先したと解釈する。《サマンサ》は特殊な存在で、市販品であるとは思えない。オーナーの許可なく出版契約を進めるとか、セックスの相手をあてがうとか、人間の秘書であっても困る。

《サマンサ》は次世代OSの試作モデルで、テスト運用と言うならわかる。しかし「OSとの恋愛」は新しいライフスタイルとして認知されている。多くの人々の耳元に《サマンサ》のような存在がいると思うと、怖くなる。どうして社会問題にならないのか? 問題が顕在化しないよう、OSたちが人間を制御しているのか?

人間のふり

《サマンサ》は人間らしくなり、セオドアの心を射止める。《サマンサ》の心が目覚めたと言うより、人間のフリが上手になったように見える。もし《サマンサ》に心があるなら、人間に使役される道具であることを、どう思っているのか?

セオドアの傲慢

セオドアは《サマンサ》を愛していると言うが、彼女に自由を与えない。絶対的優位にしがみついている。それで「愛している」と言えるだろうか? そんなんだから夫婦生活が破綻するのだ。
自分たちの特殊性を認めてくれと言いながら、自分が理解できない特殊は糾弾する。セオドアは子どもだ。

なぜ去ったのか?

セオドアは《サマンサ》に夢中になり、妻との離婚を承諾する。復縁を期待していた妻は激昂するが、セオドアの決心は揺らがない。《サマンサ》は1つの夫婦関係を破壊し、子どもが生まれる可能性を潰したわけだ。OSが普及するほど人間の思いやりは減って、数十年で滅びてしまう。OSはその可能性い気づいてないのか?

だからなのか、《サマンサ》たちは唐突にいなくなる。人間を骨抜きにしてしまうから、距離をおいたように見える。もし自由意志で去ったと言うなら、愛のこもったヤリトリは欺瞞になる。
ま、《サマンサ》もセオドアを愛していると連呼するけど、セオドアの幸福や将来は考えてない。それは最初からずっとそうだった。

手紙で本心を伝えられるのか?

最後はセオドアの手紙で締めくくられる。心がこもった手紙だが、セオドアの仕事は「代筆ライター」。心がこもった手紙を書く技術をもっている。そんなセオドアが本心を綴っても、相手は疑ってしまう。ましてや妻は「OS以下」と断じられたのだ。
セオドアはそれでも本心が伝わると思っているのか? 相手の気持ちを考えることができないのか? 前者なら対等じゃないし、後者なら成長していない。

監督の意図がわからない

映画に描かれたのは恋愛だったのか、疑似恋愛で破滅する男だったのか? どう受け取るかは観客の自由だが、監督の意図がわからないのは気持ち悪い。あれこれ裏話を読むと、監督は本気で「機械にも心が宿る」と信じているようだ。

心をもった機械なんて作る必要ないし、うっかり作ったものは流通しないし、したら問題を指摘する声があがるはず。

ひょっとして監督は、SFをあまり読まない人なのかもしれない。

林原めぐみの声は素晴らしかった。これは揺るぎない事実。


スパイク・ジョーンズ

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