乱歩奇譚 Game of Laplace (全11話) Rampo Kitan: Game of Laplace

2015年 アニメ 4ツ星 探偵 推理 文学・古典・童話 狂気 電脳 @江戸川乱歩

消化不良でしたね

江戸川乱歩の作品群を原案にしているが、名前やイメージをちょっと借りているだけ。しかしこういう切り口は楽しい。江戸川乱歩は2016年にパブリック・ドメインに入るのに、なぜ待てなかったんだろう? 遺族や出版社にいくらか払うんだろうか?
驚いたのは劇中に「ラプラスの悪魔」についての説明がまったくないこと。「ラプラスの悪魔」はそれほど有名とは思えないが、当然知っている人たちがターゲットなんだろうか? まぁ、中学生が市販のパソコンで決定論を算出できるのだから、深く考えても意味ないか。

もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。

『確率の解析的理論』1812年

コバヤシの視点では、興味のない人物が影になる演出はおもしろかった。アケチ視点でデッサン人形になるのもいい。しかしナミコミ視点でドクロになるのは納得できない。すべての人間がドクロ、もしくはすべての人間が詳細に見えるくらいの差がほしかった。ナミコシはサイコパス(精神病質)と思っていたが、虐待された過去で価値が損なわれた。ステレオタイプにすぎる。

コバヤシ君は素晴らしい。中性的な外見だけでなく、ぶっ飛んだ性格と、人情に惑わされない知性に惚れた。親友ハシバが影に見えたときは興奮したので、終盤は拍子抜けだった。ビルからダイブするくらいじゃ、コバヤシ君の心を変えられるとは思えない。ずっと常識人だったハシバは、コバヤシのため人を殺すとか、片目を失うくらいの狂気を見せてほしかった。

ニコニコ動画で見た座談会によると、制作期間が極端に短かったようだ。練り込み不足も、まぁ、仕方ないかもしれない。

関連エントリー

2015年 アニメ 4ツ星 探偵 推理 文学・古典・童話 狂気 電脳 @江戸川乱歩
1925年の明智小五郎 (全3話) / シリーズ・江戸川乱歩短編集 #01

1925年の明智小五郎 (全3話) / シリーズ・江戸川乱歩短編集 #01

The Early Cases of Akechi Kogoro, 1925
2016年の日本ドラマ ★4

おもしろい試み。 NHKによる江戸川乱歩の短編小説のドラマ化。第一弾に選ばれたのは乱歩の初期作品3つ。 原作をなるべく変えず、地の文を読みながら芝居を進めていく。近ごろのドラマはナ (...)

名探偵・明智小五郎 (全2話)

名探偵・明智小五郎 (全2話)

Meitantei Akechi Kogorou
2019年の日本ドラマ ★1

ウルトラつまらない 名探偵・明智小五郎「VAMPIRE 巨大病院サイバージャック!!」 名探偵・明智小五郎「SHADOW 警察データベース流出!! 犯罪者連続殺人」 「現代に蘇った (...)

金田一耕助VS明智小五郎ふたたび

金田一耕助VS明智小五郎ふたたび

Kindaichi Kosuke VS Akechi Kogoro 2
2014年の日本ドラマ ★2

ふたたび足りない金田一。 1年ぶりの続編。金田一は明智に苦手意識をもち、対抗しようとする。まー、子どもだね。 隠れキリシタンを題材にしているが、村人たちを蒙昧に描いているのは気に入 (...)

金田一耕助VS明智小五郎

金田一耕助VS明智小五郎

Kindaichi Kosuke VS Akechi Kogoro
2013年の ★2

玉緒が幼女! 「VS」と銘打ってるが、金田一耕助(山下智久)は未熟な子ども、明智小五郎(伊藤英明)は立派な大人として描かれている。その差は強烈で、日本を代表する探偵2名とは思えない (...)

RAMPO (SEGAサターン)

RAMPO (SEGAサターン)

RAMPO (SS)
1995年のゲーム ★3

意外とイイ感じ 映画『RAMPO』(1994)をベースにしたアドベンチャー・ゲーム。映画本編との関連性は皆無だが、映画は話題性はあったがおもしろかったわけじゃないので、問題ない。む (...)

名探偵明智小五郎 江戸川乱歩の「陰獣」 (稲垣吾郎主演)

名探偵明智小五郎 江戸川乱歩の「陰獣」 (稲垣吾郎主演)

1998年の日本ドラマ ★2

底の浅い変態たち あらすじ  現代日本。明智小五郎(稲垣吾郎)は新進気鋭の探偵小説家。フェンシング仲間の浪越警部(きたろう)から推理力を高く評価されているが、事件捜査に興味はない。 (...)

ページ先頭へ