アンノウン Unknown

2011年 外国映画 3ツ星 スパイ 犯罪 記憶操作

それでええんかい

あらすじ

マーティン・ハリス博士は国際会議に出席するため、妻エリザベスを伴ってベルリンにやってきた。しかし交通事故にあって、4日も昏睡する。目が覚めてホテルに向かうと、妻は自分を知らない男だと言い、ハリス博士を名乗る男に寄り添っていた。

魅力的な導入部。殺し屋に襲われたことから、陰謀に巻き込まれたことがわかる。偽ハリス博士がプライベートな電話内容を知っていたことから、盗聴され、準備されていたことがわかる。妻エリザベスの言い訳が要領を得なかったことから、おおよその筋書きは読めた。まぁ、それはいい。

問題は、自分の素性がわかってからの行動だ。組織が問答無用で襲ってきたため、主人公も敵対するしかなかったが、もし受け入れてくれるとしたら? 主人公は現代の体制に強い憎しみを抱いていたはず。それをきれいさっぱり忘れて、体制を守ろうと奔走するのは理解しがたい。

両親を殺され、復讐のためテロ組織に加担していたが、自分がしていることで新たな犠牲者が生まれ、憎しみが連鎖することに気づいた・・・といった説明がほしかった。

結局、主人公はハリス博士でもなくなり、タクシー運転手と新たな名前で生きていくわけだが、ふたたびテロに走らないと言えるだろうか? どうにも不安になる。

演出について。「フライトプラン」もそうだが、自分の素性に自身を持てなくなるプロットなら、問題発生前のシーンは邪魔になる。本作なら、エリザベスと空港に降り立つシーンはカットして、病院で目覚めたところからスタートするほうが、緊張感、不安感が増しただろう。

それから、そう、エリザベスの爆弾処理が笑えた。この映画でもっとも予想外のシーンだった。

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