ザ・レイプ The Rape

1982年 日本映画 3ツ星 ドラマ

「女はこうなるはず」という思い込み。

昭和57年、私は11歳(小学6年生)。女性の社会進出と、それに伴う軋轢なんて知る由もない。中学生になってテレビで見たが、よくわからなかった。

電気屋の男が田中裕子をレイプした。恋人・風間杜夫は役に立たない。泣き寝入りしないと訴えるが、電気屋は合意の上と主張。弁護士は田中裕子は尻軽だったと思われるよう、過去をほじくり返す。田中裕子が法廷でまた凌辱されていることはわかった。
しかし田中裕子は貞淑な女性というわけではなかった。あるいは彼女は、男性を刺激する臭いを発していたのかもしれない。であれば電気屋の罪は許されるというわけじゃないが、物語がどこに向かうのかわからなくなった。

田中裕子は泣いたり落ち込んだりセず、軽やかに暮らす。そして判決が出ないまま映画が終わってしまった。えええ? どうなってるの?

2022年、ふたたび視聴した。レイプ事件は主題じゃなかった。田中裕子は不思議な魅力がある。言い寄る男をコントロールできないが、そんな自分を受け入れて生きているようだ。
「レイプされた女性は泣いて暮らすはず」というのは、男の思い込みだった。レイプされても傷つかないという意味ではない。

女は流されるはず。悦ぶはず。泣き寝入りするはず。ショックを受けて立ち直れなくなるはず・・・。

そうかもしれないが、そうとはかぎらない。

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