ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク The Lost World: Jurassic Park

1997年 外国映画 3ツ星 SF パニック 動物パニック 恐竜 @S.スピルバーグ

この映画は恐竜をどのように見せたかったのか?

2021年に鑑賞。私は70年代の恐竜ブームを記憶しているし、『恐竜探険隊ボーンフリー』もワクワクしながら見ていたが・・・サラの恐竜愛護主義はおっかない。自分は理性的で、相手を教え導く立場と思っているから、手に負えない。かたやイアンはすっかり現実主義者。共感できるが、信用が足りない。こんな両親を愛するケリーは大変だ。

夫婦・家族の問題はここまで。恐竜ハンターがやってきて、略奪と殺戮にふける。いかにも悪辣だが、これが伝統的アプローチだよね。
イアン一家を救うため、崖っぷちで踏ん張って食われたエディ・カーがあわれ。しかし彼の死は、ドラマに影響を与えない。
「ほかに欲しいものは?」「ダブルチーズバーガーだ!」
とふざけてる場合じゃなかった。

ハンターたちは慢心していた。はぐれた隊員が小型恐竜に襲われる。ザマァミロと言いたいが、エディの死を思い出し、妙な気持ちになる。
私たちは、傲慢なハンターが大いなる自然(恐竜)の仕返しで全滅するところを見たいのか? 隊長ローランドもステレオタイプの悪人ではなかった。ううーん。

そうした感慨も、サンディエゴの騒動で吹っ飛ぶ。暴れるティラノサウルス、食われる犬、バックして激突する車、すぐ逃げる警察、主人公たちは正義を信じてやりたい放題。新社長が食われて、ハモンドが「自然のままに」と言うと、なんか正義がなされたような印象を受けるが、恐竜は自然に生まれたわけじゃないし、自然を御することが人間の本質ではなかったか?

イアンの恐怖心と、サラの愛護主義──。人間は恐竜に、どう向き合うべきか? もっと考えさせてもいいと思うが、このくらいに留めておくことが工業的成功の秘訣かもしれない。


ジュラシック・パーク
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