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2016年 ゲーム 5ツ星 ★妄想リメイク ゲーム:パズル 主人公は子ども 管理社会

やはり納得したい

『LIMBO』(2010)の開発チーム Playdead による新作パズルアクションゲーム。横スクロールスタイルは受け継がれたが、カメラが上から覗きこんだり、壁を超えるときは一気に動くなどの演出が行き届いている。少年の動きもリアルかつユーモラスで、ちょっとした動作に感心してしまう。
パズルはきわめてクオリティが高い。初見殺しだが、すぐリスタートできるし、ヒントもあって、適度に頭を使わせる。何度も挑戦することはないが、何年かすると解き方を忘れて楽しめそうだ。

世界観に圧倒される。恐ろしい犬、汚染された豚、自我を失った人々(無気力人間)、ヘッドセットによる遠隔操作、監視カメラ、放棄された都市、恐ろしい水中生物、衝撃波、巨大な実験施設......。とりわけヘッドセットで無気力人間を操作するところは、絵的にも意味的にも戦慄した。よく思いつくもんだ。

ストーリーについて

追われに追われて一人きり、少年はいつのまにか闇のプロジェクトの中枢に引きずり込まれていた。

少年がどこのだれで、なにから逃げて、どこへ行こう言うのか、説明はいっさいナシ。ひたすら左から右へと進むと、少しずつ世界が見えてくるが、やはり状況を把握するには至らない。よく見ると、農場→工場→都市→実験施設と、一般的に考えられる逃走ルートと逆になっている。少年は本当に逃げていたのか?
終盤、少年はプリプリの肉塊と融合する。肉塊は左から右へと逆進するが、スタート地点まで戻ることはない。そしてふたたび右に進んでエンディング。左になにがあったのか、最後までわからなかった。
自我のある大人たちは、肉塊から逃げるが、攻撃してこない。右に進むときは協力してくれる。この肉塊が、計画の完成形だったのか? どんな望みを託したのか? さっぱりわからない。

ここまで作りこんだなら、やはり理解できる筋書きを示してほしかった。これじゃ友人に薦めるのをためらってしまう。

妄想リメイク

少年は左から右に進むが、最後は《壁》に阻まれ、囚われてしまう。スタート地点に戻された少年はなんらかの処置を受けて肉塊となった。肉塊はふたたび逃げ出し、左から右へ進んでく。もはや火も水も、犬も衝撃波も、肉塊を止めることはできない。肉塊は《壁》を乗り越えた。
そのとき閃光とともに世界は崩壊した。あらゆる建造物が破壊され、生命体は一掃された。水中人間などの試作品もみんな死に絶えた。

数千年後、地中から肉塊が這い出してきた。肉塊は草原の中で溶けると、数十人の少年少女が分離。彼らは新しい大地に立った。

肉塊は破滅を乗り越える方舟だった。

...なんてのはどうかな?

隠し要素について

道中に隠されたプラネタリウムみたいな装置を破壊すると実績が解除される。隠し場所は見つけにくく、ここでしか使わない動作(松明で犬を追っ払う)もある。装置は14個あり、すべて揃うと隠しエンディンに行けるが、これは本編を補完するものではなかった。
なるほどヘッドセットをつけた少年がで、ヘッドセットをつけた無気力人間を介して無気力人間を操作できるなら、この可能性に気づくべきだった。プラネタリウムみたいな装置は、ヘッドセットの中継装置だろうか? とすればプレイヤーは、自分で自分の生命線を引っこ抜いていたことになる。まぁ、プレイヤーは現実世界にいないから、そのへんを突っ込んでも仕方ないが。
兎にも角にも、ぞっとするシーンだった。



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