屋根裏の散歩者 江戸川乱歩エロティックシリーズ (監督:窪田将治) Watcher in the Attic

2016年 日本映画 3ツ星 探偵 犯罪 @江戸川乱歩

ただの殺人じゃん。

「屋根裏の散歩者」は変態(郷田)の破滅を描いた短編小説。郷田はこの世の喜びや楽しみに不感症で、欠落を埋めるため努力する。「のぞき」にも飽きてしまったことで、郷田は犯罪の刺激に身を委ねる。郷田の苦悩がわかるから、あわれに見える。「のぞき」は主題じゃない。
郷田は遠藤を殺した。愛しても憎んでもいない。利得もない。殺せるから殺した。関係性のない殺人。だから恐ろしい。

映画の郷田はふつうの人。遠藤を殺害した動機は愛。ただの殺人じゃん。遠藤はセックス依存症だが、女性を惑わす魔性はない。ただの男。濡れ場に特別な意味はない。
明智小五郎はただ職業探偵で、変態への理解や愛情はない。浮気調査で殺人事件に遭遇しただけ。ううーん。

令嬢の刃傷沙汰、郷田の入水自殺で映画は終わる。短編の要素を描かず、あれこれ追加して、ふつうの事件、痴情のもつれになってしまった。

「屋根裏の散歩者」が映像化されるたび言うけど、ヌードを見たいわけじゃない。変態のあわれと恐怖、破滅を見せてくれ。

ゆっくり文庫

私なりの解釈で動画を作った。見てください。


ページ先頭へ