ロスト・エモーション Equals

2016年 外国映画 2ツ星 管理社会

やりたいことはわかるが、チープで共感できない。

「地上の99.6%が破壊された近未来」で「遺伝子操作で感情を排除した共同体」があって、もし感情が芽生えたら隔離され、安楽死させられることになっていた・・・? 
なんて空々しい設定だろう。言葉だけでリアリティを感じない。観念的。中学生の妄想のようだ。

そんな未来世界で、主人公は恋をするわけだが、その変化と受容にがっかりする。恋愛や性衝動は、現代人であっても戸惑うのに。知識もなくキスやセックスを堪能して、自分たちを肯定するのは不可解。彼らは本当に未来人なのか? 薄っぺらく、ウソっぽい。

本作は食事シーンが多いけど、演出意図がわからない。彼女といっしょに食べると美味しいとか、不安があると味気ないとか、感情に合わせた変化はないのか? 開放的な屋外で食事をしてるから、閉塞感もない。
白い建築物を選んだ理由は? 「惑星探査の想像図を描く仕事」ってのも、作品のテーマに合致していない。ちゃんと考えずに作ったようだ。

ひどいのは結末。感情をなくしたサイラスを、ニアは愛せるの? だとしたらニアはどうしてサイラスに恋したのさ? カラダ目当て? おまけにサイラスは思いやりを示す。治療法は不完全だったの?
視聴者の想像に委ねたんじゃなく、考えてなさそう。萎える。

15分くらいの短編だったら、鮮烈だったろうな。

ページ先頭へ