皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ Lo chiamavano Jeeg Robot

2016年 外国映画 3ツ星 テロ ヒーロー 犯罪 超能力 @永井豪

半端なヒーロー能力。

たまたま超能力を得たチンピラが、日本のアニメ『鋼鉄ジーグ』(1975)の大ファンである女性に影響され、ヒーローになろうとする話。
超能力といっても怪力とタフネスだけ。高い壁を飛び越えたり、切断された足の指がくっつくことはない。また主人公が正義感に目覚めるのも最後の最後で、ほとんどの時間はチンピラたちによる銃弾と暴力の応酬がつづく。ヒーロー映画のカタルシスはまったくない。

『鋼鉄ジーグ』もアイコンとして出てくる程度。ジーグらしい能力や展開を期待してはならない。それでも海外旅行中、街角で日本のプラモデルを見かけるような嬉しさはある。

見どころは、半端なヒーロー能力。人間離れしているが、スーパーヒーローには程遠い。警察が所有する武器で制圧できるだろうが、それなりに手こずりそう。とにかく半端。その匙加減が絶妙だった。

追記

エンツォは孤独なチンピラ。大金を手に入れても、アダルトビデオとヨーグルトを買うだけ。貧しいと想像力も衰える
日本のアニメが想像力を刺激し、倫理を養ったという切り口はおもしろい。日本人はアニメや特撮による情操教育を軽視している。かつては民話(昔話)がその役割を担っていた。物語がない人間社会は殺伐とする。

といったことを描いてくれると、ぐぐぐっと魅力が増したと思うのだが・・・そうじゃなかった。「ジーグのここがスキ!」という会話や、ヒーローがいると思うことで社会の風通しがよくなる描写が、もうちょい欲しかったかなー。

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